なんというデカさ…日本で竣工「世界最大級のコンテナ船」 デカすぎて日本に帰ってこれません!?
コンテナ積んだらまさに海を行く“壁”
「ONE INNOVATION」コンテナ船としての性能を見ていきましょう。デッキに積めるコンテナのスペースは24列を確保。ホールド内(船内)は12段積み、オンデッキ(デッキ上)は最大13段積みとなっています。コンテナを満載したその姿は、まさに海を行く巨大な“壁”となることでしょう。
船内には、冷凍・冷蔵貨物の輸送に使用されるリーファーコンテナの電源プラグが2000TEU分以上用意されており、コンテナ内に窒素を充満させて青果物の鮮度を保持したまま海上輸送が可能なCAコンテナにも対応。顧客のニーズに沿ったサービスをより柔軟に提供できるようになります。
また、船体には固定式陸電供給システムが搭載されており、接岸時には発電機の使用を抑え、陸上電源から供給を受けることによって、港内でのCO2(二酸化炭素)排出量を抑制します。
「ONE INNOVATION」が持つ外観上の特徴としてマゼンタの船体があげられますが、船首にも「ONE」と大きく社名が書かれた構造物が備えられています。これは「ウインドシールド」と呼ばれるもので、船首側からコンテナのホールドに向かってくる風圧の抵抗を減らし、燃料消費を低減する役割をもっています。
バルバスバウ(球状船首)の形も工夫し、効率良く航行できるようになっているほか、船尾も形状を見直し、舵がプロペラによって得られる推進力の邪魔にならないような配置になっています。もちろん近年の環境規制にも対応しており、たとえばSOx(硫黄酸化物)を回収するスクラバーなどの装置も搭載しています。
日本よさらば! もう戻ってこないよ!?
「投入されるのは主に寧波(ニンポー)、厦門(アモイ)、シンガポールと、ロッテルダムやハンブルグ、アントワープを結ぶ航路で、アジアとヨーロッパを往復し貨物を輸送します。他社も2万TEUを超えるコンテナ船を整備するなか、当社も対応する必要がありました」(ONE木幡さん)
このように造船技術の粋を集めて建造された「ONE INNOVATION」ですが、その巨大さゆえ、世界的にも入れる港が限られ、中国~欧州航路へ就航するため日本を離れれば戻ってくることが困難です。今回の竣工・引き渡しが、日本で見ることが出来る最後のタイミングになります。
とはいえ、2万4000TEU型コンテナ船はこれからも建造されるので、ぜひその姿に注目してみてはいかがでしょうか。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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