20年ぶりの潜水艦配備へ動くか NATO頼みから「完全に目覚めた」デンマーク 実は対ロシア最前線

積極的に検討中。

ロシアの脅威が強く影響か

 デンマーク海軍が20年ぶりに潜水艦を保有する可能性があることが、2023年6月12日にアメリカ・ワシントンで行われたハドソン研究所のイベントで明らかとなりました。

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かつてデンマークが運用していたコベン級潜水艦「セーレン」(画像:アメリカ海軍)。

 アメリカの防衛系メディアの報道によると、デンマークの防衛政策を担当している外交政策委員会のマイケル・アストルップ・ジェンセン氏が「議員たちは、再び潜水艦を保有するか、あるいは同盟国の協力により能力を発揮するかを積極的に検討している」と潜水艦保有の可能性について言及したとのことです。

 デンマークでは、北大西洋条約機構(NATO)の防衛下にあって、自国で潜水艦能力を有する必要性が薄いことから、2004年に潜水艦の運用を終了。このときはスウェーデン、ノルウェーと共同で進めていた潜水艦建造計画からも離脱し、防衛予算の節約を図りました。

 今回、久しぶりに潜水艦を購入する方向にデンマークが向いたきかっけは、やはりロシアが2022年2月から始めたウクライナ侵攻に理由があるようで、ジェンセン氏は「ロシア海軍がサンクトペテルブルクやカリーニングラードから出る場合、必ずわが国の海域を航行するため、防衛を強化する必要性がある」としています。

 デンマークは、カリーニングラードにも近いエルソルメネという島を自領としており、実は対ロシアの最前線ともいえるのです。しかし、NATOの共同防衛を頼りに、今までこのことへ目をつぶっていたため、ジェンセン氏は「これは我々にとって完全な目覚め」との表現で、最近の国際情勢で変化した自国の状況について明かしています。

 防衛予算に関しても、これまでGDPの1.3%程度だったものを2%まで引き上げる方針のようです。海軍に関しては、今後数年以内に最大400億デンマーククローネ(約8200億円)を投資する必要があると2022年に同国国防省が発表しています。潜水艦が自国開発か購入かは現状不明ですが、近い将来、導入される可能性は高いとみられます。

【了】

【陸にあげられる潜水艦】2004年に廃止されたデンマーク艦「セーレン」(写真)

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