「潜水艦を救助する潜水艇」一体どうやって? 日本も2隻保有「潜水艦救難艦」の知られざる正体

潜水艦乗員の士気向上にも直結する必須装備

 ちなみに「ちよだ」の建造費は約508億円。2022年10月に進水した我が国最新の潜水艦「じんげい」の建造費が699億円であるため、潜水艦救難艦の調達コストは通常動力型潜水艦1隻分に相当するとも言えます。なお、潜水艦救難艦自体は非武装であることから、それ自体は戦力にはなりません。

 ただ、潜水艦は事故を起こすと沈没しやすく、またそうなった場合は乗員、いわゆるサブマリナーが命を落とす確率が極めて高い船でもあります。そういった場合に備えて潜水艦救難艦を整備しておくことは、人命尊重という観点から見れば、決して高コストとは言えないでしょう。

 また、サブマリナーからすると、万一事故に遭って、深海に閉じ込められたとしても同胞が助けに来てくれるというのは心強く、士気の向上にもつながります。

 加えてサブマリナーは、育成するには長い期間と多額の費用が必要です。ベテランであればあるほどその価値は高く、ある意味では潜水艦よりもはるかに貴重とも言えます。

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海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちよだ」船体中央に白く見えるのが深海救難艇「DSRV」。このDSRVは「ちはや」のものよりも高性能(画像:海上自衛隊)。

 今回、沈没事故を起こした深海潜水艇「タイタン」は、カナダ最東端に位置するニューファンドランド・ラブラドール州のセント・ジョンズから出航し、18日午前にアメリカのマサチューセッツ州ケープコッド海岸から約1450km離れた地点で潜航を開始しています。

 その後、通信が途絶えたため、6月22日現在、いまだ発見すらできていません。当該海域の水深は最大3800mもあるそうです。乗船者の一刻も早い発見と救助を祈っています。

【了】

【これがサブマリナーの“命綱”】潜水艦運用するなら必須の深海救難艇(写真)

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コメント

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2件のコメント

  1. 大変勉強になりました。

  2. ロシア潜水艦なら、助けなくて良かったのに