防衛省が「海保コントロールOK」を具体化 海自との“初”訓練 何がどう変わった?
有事の際、防衛大臣は海上保安庁の全部または一部を統制できると法で定められていますが、この内容が2023年4月に「統制要領」として具体化。そして6月、海上保安庁は海上自衛隊と共同で、要領に基づき訓練を行いました。
伊豆大島沖で行われた海自・海保初の「共同訓練」
海上自衛隊と海上保安庁が2023年6月22日(木)、伊豆大島東方の海域で、とある共同訓練を実施しました。これには、海上自衛隊から護衛艦「やまぎり」とその艦載ヘリである「SH-60K」が、海上保安庁からは巡視船「さがみ」がそれぞれ参加したことが明らかにされています。
これまでも海上自衛隊と海上保安庁は、不審船への対応を念頭に置いた共同訓練を数多く実施してきました。ところが、今回の訓練はそうした従来のものとは大きく異なるものだったのです。それが、防衛大臣による海上保安庁の統制です。
具体的にどういうこと?
日本に対して外国の軍隊が攻めてきた場合、これを「武力攻撃事態」といいますが、この際には当然、自衛隊が日本を防衛するために敵と戦うことになります。しかし日本が戦場になるということは、自衛隊だけでなく、まさに日本という国家全体がこの事態に対応する必要があります。そこでこうした事態においては、防衛省・自衛隊や警察、消防といった各種機関が協力して、国民の保護などを実施することになっています。
「海の警察機関」である海上保安庁も、当然その中に含まれています。そうした活動をより効率的に実施するために、内閣総理大臣が特別の必要があると認めるときに限り、自衛隊法第80条に基づき防衛大臣が海上保安庁の全部または一部を統制(コントロール)することができるようになっているのです。
ではこの統制の下で、海上保安庁には何ができるのでしょうか。日本政府の見解は次の通りです。
「海上保安庁は、自衛隊の出動目的を効果的に達成するために、その所掌事務の範囲内で、例えば漁船の保護、船舶の救難等の人命、財産の保護や、密輸、密航等の海上における犯罪の取り締まり等の業務を実施することとなると考えられます」(第145回国会 参議院 日米防衛協力のための指針に関する特別委員会会議録 第4号 1999〈平成11〉年5月11日 野呂田芳成防衛庁長官答弁)
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