「もう部品ありません」老朽化で休止の「上野動物園モノレール」 そのまま廃止へ
東京都は、上野動物園モノレールの鉄道事業廃止届を国交省に提出しました。休止から4年を経て突然の廃止、なぜでしょうか。
モノレールの代替となる「新たな乗り物」を整備へ
東京都は2023年7月21日(金)、上野動物園のモノレール「上野懸垂線」の鉄道事業廃止届を国土交通大臣宛てに提出しました。老朽化などを理由に2019年から休止されていましたが、ここへきての廃止という判断になりました。
今回廃止されるのは、上野動物園東園駅から上野動物園西園駅までの0.3km。廃止予定日は2024年7月21日(日)です。
上野懸垂線は、動物園の「東園」と「西園」を結ぶことを目的に、1957年に開通しました。当時、東京都では路面電車に代わる新たな交通手段の開発を試みており、レールからぶら下がって走る「懸垂式」モノレールとして整備された経緯があります。常設としては日本初のモノレール路線となりました。
開通後は入園者の3割が乗車する「動物園の名物」となり、1967年、1985年、2001年に車両更新が実施されています。
2001年に導入した40形の老朽化が顕著になったため、東京都は車両更新を検討しましたが、すでに部品が製造されていないなどの理由で更新を断念。モノレールを廃止し、小型モノレールなど、新たな乗り物の導入を検討するとしています。
上野懸垂線は、ドイツのヴッパータール空中鉄道を参考にした独自の「上野式」で建設され、同じ懸垂式でも「湘南モノレール」や「千葉都市モノレール」と構造が異なっています。日本唯一の構造になってしまった故に、他路線と共通の部品を使用してコストを削減することもできず、部品が確保できなくなったことが影響した形です。
東京都建設局は2022年11月、モノレールの代替となる、新たな乗り物の整備に関する基本方針を策定。バリアフリーへの配慮、これまでと同等以上の輸送力、乗り物としての楽しさを備えること、省エネ性能の確保、メンテナンス性に優れた機器の導入などを盛り込んでいます。
整備ルートは、モノレールを最大限活用したうえで、新たな西園の乗り場は、既存の西園駅舎よりも不忍池側に移動した位置に設ける方針です。なお、既存のモノレール施設は都が撤去する予定です。
新たな乗り物は、民間事業者との連携で整備するとしています。今後のスケジュールは、2023年度に整備事業者の募集要項を公表し、年度内に事業者を決定。2024~2026年度に設計・工事を行い、2026年度中の供用開始を見込んでいます。
【了】
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