橋脚は“崖っぷち”新東名の巨大アーチ橋は一体どう建設? 車両まるごと「県道の上をのぼってる!」

 神奈川県西部の山岳地帯で、新東名の未開通区間の建設工事が進んでいます。なかでも周辺の国道から見える“天空のアーチ橋”は、そそり立つ崖から巨大な橋脚が立つという異様ぶり。いったいどうやって建てるのでしょうか。

今は「Y」字の柱、やがてアーチ橋に

 神奈川・静岡県境付近で新東名高速の未開通区間(新秦野~新御殿場)の建設が進んでいます。2023年7月31日、NEXCO中日本が主催する一般の親子向け見学ツアーの一環として、その神奈川県側の工事現場が公開され、周囲でひときわ目立つ“天空のアーチ橋”の工事現場へ入りました。

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建設中の新東名「河内川橋」(乗りものニュース編集部撮影)。

 ここは神奈川県最西部、山北スマートIC付近で建設中の「河内川橋」です。橋脚の根本は鋼構造で、そこから“やじろべえ”のように、コンクリートのアーチを徐々に伸ばしていく工法を採用。現在は、川の両岸の崖に2つずつ、巨大な「Y」の字の構造物がにょきっと生えているような形です。

 川の東岸(神奈川側)から西岸(静岡側)の橋脚を見ると、作業用の足場とともに「工事用トンネル」が口を開けているのがわかります。このトンネルで工事用道路を確保し、足場を組んで橋脚の作業ヤードを作ったのだそう。ちなみに、崖下には掘削した土を上から落として搬出するための“ずり出し用トンネル”も掘られているそうです。

 そして、今立っている東岸側の作業ヤードを構築するために作られたのが、高さ100mもの「インクライン」です。かんたんに言えば、車両ごと上り下りができる巨大な“斜めエレベーター”のこと。

 ツアーのバスと事業用車両が、川沿いの鉄のステップに駐車すると、スタッフがサイドのシャッターを閉めました。するとステップがだんだんと地面から離れていきます。東岸の県道を斜めに覆うように組まれた鉄骨が、いわば“線路”にあたり、県道を見下ろす位置まで上がっていきました。

 このインクラインは国内最大級の規模で、最大積載荷重は90t。なんとダンプ4台を載せて動かすことができるのだそう。

 河内川橋は最終的に、川の水面からの高さが最大120m、川を横断する箇所のスパン長(橋脚間の長さ)は220mになります。斜面に構築された作業ヤードをさらに上り、橋がよく見えるという位置まで行くと、そこは茶畑の真横でした。山の上にも集落があり、その近くで工事が進められています。

【了】

【全てがでけぇー!】崖っぷちで建設中の新東名の橋(地図/写真)

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