鼻先どうした!? コックピット2段構え 異形すぎる米空軍機の「任務」とは

B-1&B-2戦略爆撃機

 本機は一見すると、機首周りの異形さに目が奪われますが、実は左右の主翼の中程に設けられた垂直板とその外側の前縁フラップ、これが飛行特性を再現するのに重要なポイントでした。この部分をコンピューターを介して動かすことで、1機で様々な飛行機の飛び方を再現できるようになっていました。

 その“再現座席”が、機首に突き出た第2のコックピットといえる操縦席だったのです。ここは研究対象の航空機に応じて、その都度改装できるようになっていました。

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アメリカ空軍のNC-131H。真正面から見るとそれほど違和感を感じない(画像:アメリカ空軍)。

 NC-131Hは1970年に初飛行に成功します。なお、計画名の「Total In-Flight Simulator」から「TIFS」とも呼ばれました。最初に使われた研究プロジェクトはB-1「ランサー」爆撃機でした。B-1の飛行特性をシミュレートし、実機へとフィードバックするのに貢献。その実績から以後、X-40およびノースロップ「タシットブルー」といった技術実証機から、B-2爆撃機ならびにYF-23試作戦闘機などのステルス機、C-17大型輸送機、さらにはスペースシャトルまで含む、多くの空軍・NASA航空機の飛行特性をシミュレートしたといいます。

 ほかにも民間機の開発プロジェクトにおいて、ボーイングの超音速旅客機(SST)、マクドネル・ダグラスMD-12X大型旅客機、インドネシアのIPTN N-250双発旅客機などで研究開発に協力。さらに多くのテストパイロットを養成するのに用いられました。

 ただ、前述したように、コンピューター・シミュレーションが発達し、フライトシミュレーターなどで代用できるようになったことから、NC-131Hの必要性が大幅に低下。結果、退役し2008(平成20)年11月7日にアメリカ空軍博物館へ移管されました。

 ジェットコースターなどでは、一番前の席はスリルを求める来場客に人気があるため、もしNC-131Hで遊覧飛行が可能ならば人気を博すかもしれません。

【了】

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