バス運賃箱に「インド人の毛髪が使われてる」はガチ? 日常支える”老舗技術”誕生のワケ「実は中国人も…」
バスの運賃箱のパーツに「インド人の毛髪が使われている」ことがSNSで話題に。なぜこんなビックリな素材が採用されているのでしょうか。メーカーにその真相を深掘りしてみました。
お金と紙類を仕分けるブラシは「人毛」
バスの運賃箱には硬貨だけでなく、整理券や紙幣、紙の回数券など、色々な物が投入されます。硬貨は硬貨だけで集めたいので、それを機器内で仕分けするのにブラシが内蔵されていますが、実はそのブラシの素材には「人毛(ヒトの髪の毛)」が採用されています。
このことは2020年にテレビでも取り上げられ話題になりましたが、最近ネット上で、その盛りあがりが再燃しています。「人毛最強説」「しかもインド人かよ」とインパクトは絶大ですが、あらためてなぜ素材がこれに決まったのか、交通機器メーカーのレシップにたずねてみました。
――仕分けブラシの素材が、現在のもの(人毛)になったのはいつでしょうか?
約50年前ほど前からです。いまの一般的なバス運賃箱は、投入された硬貨を小さなベルトコンベアーのようなもので奥へ送り込む方式ですが、この実用化とともに「仕分けブラシ」も搭載されました。この最初期から、人毛が採用されています。
――ブラシの素材が人毛に決まるまで、どんなものを素材の候補として試してきたのでしょうか?
豚毛、馬毛、プラスチック等、ブラシになりうる形状の素材は一通り試しました。
――結果的に人毛が最適だったということですが、そもそも仕分けブラシの素材には、どういった性質が求められるものなのでしょうか?
仕分けを確実に行えるよう、紙の重量ではしならず、硬貨の重量でのみしなるような「絶妙な硬さ」であることが必要です。また癖がつきづらいことや静電気を帯電しにくいことなども求められます。さらに、機器内のベルトには硬貨が滑り落ちやすいようにフッ素コーティングがされていますが、これをガシガシと削ってしまわないような、ほどよく柔らかい材質であるとなお良いです。
バスの運転手はインド人を右にして走っていたわけですね