いつの間に山手線へ…? 湘南新宿ラインの“瞬間移動”を実現する「謎のトンネル」の正体 上は意外な場所だった
湘南新宿ラインは赤羽~池袋間で“瞬間移動”のような現象が起こります。京浜東北線区間から、いつの間にか山手線へ――その舞台であるトンネルを上からたどってみました。
湘南新宿ライン、赤羽~池袋間のワープ
山手線(山手貨物線)を介した高崎線・宇都宮線と東海道線・横須賀線電車の直通運転系統「湘南新宿ライン」が誕生して22年が経ちました。山手線の東側、上野駅終点や東京駅方面への運転が普通だった路線で、池袋・新宿・渋谷といった山手線西側へのアクセスを日常的なものにしただけでなく、「上野東京ライン」に先行して長大な直通運転ネットワークを実現した功績は大きいものがあります。
その湘南新宿ラインのキモの一つといえるのが、あるトンネルです。京浜東北線の電車と一緒に走っていたのに、いつの間にか、車窓が山手線になっている--10分弱のあいだ無停車の赤羽~池袋間で起こる“瞬間移動”の舞台です。
この「中里トンネル」は、京浜東北線の駅間でいうと上中里~田端間でトンネルに入り、山手線の田端~駒込間に出ます。
京浜東北線側では、上中里を通過してから湘南新宿ラインのルートはだんだん沈み込んでいき、やがてカーブし京浜東北線の下をくぐります。そのままトンネルに入り、今度は山手線電車が走る線路(旅客線)の下をくぐって、山手線に合流。崖の地形や切通しを生かした立体交差の構造によって“瞬間移動”を実現しているものの、あっという間に通過するため、何が起こったのかわからないと感じる人も多いかもしれません。
中里トンネルは1928(昭和3年)に開通。当初は貨物専用でしたが、戦後に武蔵野線が開業すると、貨物列車の多くはそちらに移り、旅客列車を通す余地が生まれました。1988(昭和63)年には、埼京線とは別に池袋駅の貨物線上へホームが作られ、宇都宮線・高崎線に池袋発着の列車が誕生。これが後の湘南新宿ライン誕生へとつながりました。
ちなみに、中里トンネルの上には、トンネルに沿って国鉄の官舎が立ち、現在はJR東日本グループが手掛ける集合住宅になっています。現地は上野台地の崖上にあり、その下を走る京浜東北線などの列車の音はわずかに響くものの、湘南新宿ラインは最も下を通っているためか、意外なほど静かな環境でした。
【了】
恵比寿と目黒の間では、山手線とサイドチェンジしますよね。山手線に乗っていて、クロスする部分でめっさ揺れるんですよね。