「迷彩服の警察官」って? 岐阜の乱射事件で出動した謎多き「警務隊」の実態 自衛官としてはちょっと羨ましい?

特別儀じょう隊も警務科所属

 また、陸上自衛隊の警務隊が担う重要な任務に、「儀じょう」があります。これは海外から国賓などが来る際に、防衛省本省や迎賓館などで実施されるもので、特別儀じょうや栄誉礼という名で知られています。

 この儀じょう任務を数多く実施しているのが、市谷駐屯地に所在する第302保安警務中隊です。この部隊は、一般的な警務隊と同様の仕事をしつつ、もう一つの顏である「特別儀仗隊」としても活動しています。

 特別儀仗隊とは、主に天皇や内閣総理大臣などの要人、国賓などに対する儀仗を行う専門部隊です。隊員の選考には審査があり、規定の身長や容姿端麗などの条件があります。そのため、陸上自衛隊の警務官となり、第302保安警務中隊に配属となっても、無条件で特別儀じょう隊員になれるわけではありません。

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観閲式で整列する特別儀じょう隊。市谷駐屯地に所在する第302保安警務中隊で構成される(武若雅哉撮影)。

 2021年度分の公表されている自衛隊の懲戒処分は、陸海空あわせて免職106件、停職484件、減給296件、戒告180件の計1066件となっています。この中には私的行為に係る懲戒処分も含まれていますが、ほとんどの処分は警察官以外に警務隊も捜査などで関わっているため、非常に多忙な部隊であるともいえるでしょう。

 自衛隊内の犯罪を抑止し、必要があれば犯罪捜査から逮捕まで行う警務官。では最後に警務科職種ならではのメリットも。一般的に自衛官は、陸曹以上の階級の場合、他国でいうところの中将や少将にあたる将および将補以外はおおむね55歳前後で定年を迎えます。一方、警務官だと、階級に限らず定年退職の年齢が満60歳までと少し長くなっています。そのため、実は警務科は魅力的な職種として自衛隊内では認知されていたりもします。

【了】

【見たことある?】警務隊の専用装備 自衛隊の覆面パトカー&白バイ(写真)

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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