「翼が3対」の”破壊的新設計”の旅客機、実現するか? 驚愕の全貌にはどのような効果が

アメリカのスタートアップ企業が、「破壊的な新設計」とうたう、新型旅客機プランを発表しています。その機は主翼に相当する大きな翼が、胴体前、中、後部に3対、設置されているのです。どのような効果があるのでしょうか。

航続距離は2万kmに迫る

 アラバマ(アメリカ)のスタートアップ企業「SE Aeronautics」では、「破壊的な新設計(disruptive new design)」とうたう、新型旅客機プラン「SE200」のコンセプトを公開しています。この機体は、主翼に相当する大きな翼が、胴体前、中、後部に3対備わっているのです。これにはどのような効果があるのでしょうか。

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SE Aeronauticsが計画する「SE200」のイメージ(画像:SE Aeronautics)。

 同社によるとこの翼構成は、「効率的で軽量な翼構成」で、「短距離離着陸(STOL)機能と長距離飛行で高い効率を発揮する」設計だそうです。なお、カタログスペック上の航続距離は、地球半周分(約2万km)にほぼ相当する、1万500ノーティカルマイル(約1万9400km)としています。

 また、複合材が使用される機体の製造方法もポイントとしています。これまでの旅客機では、各パーツごとに製造され、最終組立工場でそれらを合体するのが一般的でしたが、「SE200」では、翼と胴体を一体化し成形するとのこと。「頑丈な素材で胴体を一体化して製造することで、製造にかかる日数を削減できるほか、機体の寿命を2倍にすることができる」そうです。なお、カタログスペック上の全長は140フィート(約43m)、全幅は116フィート(約35m)としています。

「SE200」の最大のポイントは、この見慣れない新設計を採用したことで、非常に「エコな旅客機」となっていることだそうです。同社によると、1席あたりの燃料消費量が従来機より約70%削減され、二酸化炭素排出量が約80%削減できるといいます。このほか同機には、「緊急着水時に水に浮くよう設計されている」「キャビン内の空気を再循環させない空気循環システムを導入し、衛生対策をより高める」といった機能が盛り込まれることが発表されています。

 ただし、同機のコンセプトは2021年に発表されましたが、その後公式ページやSNSでの進展はなく、同社の動向は明らかになっていません。もし実現すれば革命的な旅客機となるだけに、今後のアップデートが期待されるところです。

【了】

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