「怪しい米軍艦」何しに横須賀へ? 船名も艦番号もナシ ほとんどフェリーだけど“オスプレイ運用可”って!?
アメリカの世界戦略を陰で支える特殊な船
「オーシャン・トレーダー」の船内には最大で209人の特殊作戦要員を収容でき、45日間にわたり補給なしで作戦を支援できるだけの物資を積載することができます。船内には、アメリカ海軍の特殊部隊「ネイビーシールズ」(海軍特殊戦グループ)や同陸軍の「デルタフォース」などの隊員が生活できるよう食堂やジムが設けられているほか、武器や装備の保管スペースや秘匿性の高い通信に対応した指揮通信設備も用意されています。
洋上から作戦エリアに特殊部隊を侵入させるための複合艇(RHIB)や水上オートバイ(いわゆるジェットスキー)などを船尾側ランプから発進させることができるだけでなく、右舷側にはネイビーシールズの特殊舟艇チームが運用するステルス形状の強襲戦闘艇、通称「CCA(Combatant Craft Assault)」を4隻、搭載することができます。これによりネイビーシールズなどの潜入や撤収だけでなく、周辺の警備にも対応することができます。
同じく特殊部隊の拠点として使われる船としてはルイス・B・プラー級遠征海上基地(洋上拠点機能を有する貨物船転用の艦艇)がありますが、「オーシャン・トレーダー」はそのような船型をしておらず、軍艦のようなグレー主体の塗装も施されていないことも、商船っぽさを際立たせているポイントでしょう。
目立つことなく密かにアメリカの世界戦略を支える特殊作戦支援母船。次も人知れず日本の沖合に姿を現し、密かにどこかの港に停泊しているかもしれません。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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