気づけば数本だけ!? 都営新宿線「急行」激減のワケ 昼間は全滅…そして"夕方急行"誕生の背景は
最近まで頻繁に走っていた、都営新宿線の「急行」。今春のダイヤ改正でわずか数本になってしまいましたが、どんな背景があるのでしょうか。
昼間、普通に走っていたはずが
都営地下鉄新宿線では、地下鉄では珍しい「急行運転」が行われています。直通運転先で急行や準急などになるケースは多いですが、地下鉄線内で駅を通過するのは、東京メトロ東西線や横浜市営地下鉄ブルーラインなど、わずかしかありません。
都営新宿線の急行は21駅中13駅を通過し、岩本町駅などで先行列車を追い抜き。所要時間は12分も短い、紛れもない「地下鉄の急行」として君臨していました。しかし、いまや1日わずか数本という運行状況になっています。
最近まで急行は日中に1時間3本ありましたが、2022年3月のダイヤ改正で激減。さらに2023年3月のダイヤ改正で日中は完全に消滅してしまいました。
現在、新宿方面は朝の3本のみ。そのうち2本は途中の大島始発で、全線を走る本八幡始発の急行は7時20分発のたった1本です。反対方向の本八幡方面もやはり、夕方17時台の1本だけです。
なお、朝の大島発の2本と夕方の本八幡行き1本はいずれも、2023年のダイヤ改正で「各駅停車を急行に変更」して新たに誕生したものです。なぜこのような変更になったのか、東京都交通局は次のように説明しました。
●日中の急行の全廃
列車の利用率を分析したところ、急行は各駅停車に対して、明らかに利用率が低い結果に。これをふまえ、利便性向上を図るため、全便を各駅停車に変更しました。
●朝の大島始発を「各駅停車→急行」に変更
同様に利用率を比較したところ、当該時間帯の急行の利用率が高くみられたため、急行をあらたに設定することとしました。岩本町で先行の各駅停車を追い抜くことで、速達性と利便性向上を図っています。
なお、本八幡始発で急行を設定するのは、朝のラッシュ時には余裕が無いため難しいのです。そのため2本とも、大島始発となっています。
●夕方の本八幡行きを「各駅停車→急行」に変更
もともとこの時間帯に急行がありませんでしたが、速達性及び利便性向上が図れることを期待し、新たに設定することとしました。この列車は岩本町で先行の列車を追い抜き、さらに大島駅で2本前の列車に接続します。
ダイヤ改正で運転間隔を調整した結果、この時間帯に急行を挟みこめる余裕が生まれたため、実現となりました。
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このように、急行運転の変更は「綿密な分析」と「チャレンジ」を兼ね備えたものと言えます。新たに誕生した「夕方の急行」は果たして、都営新宿線に定着することとなるのでしょうか。
【了】
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