マニュアル車は“無理ゲー”なのか 運転免許ほとんど「AT限定」に MTを諦める人の事情
それでもMT車が生きるワケ
さらに、失効した免許を再取得するケースでは、ほとんどがAT限定を選択するそう。再取得に向けた教習を行うインストラクターによると、「早く免許を取り戻したい」といった理由が強いこともあり、限定なしで再取得するのは1割程度に留まるといいます。
同氏によると、いちどMT免許を取得した人でも、MT車で最もつまずくのはクラッチの使い方だといいます。ただ、MT車の操作ができる人であっても、AT車で試験に落とされるのは、交通ルールに反してしまうケースがかなりの割合を占めている模様です。
しかし、そうしたなかでもMT車は生き続けています。2022年の新車販売台数は約420万台。冒頭に記したように、そのうち99%がAT仕様ですが、残り1%はMT車。数でいうと4万台ほどであり、それらは「新車で乗れるMTモデル」といえるでしょう。
その多くは運転が好きな人に向けた、いわゆるスポーツカーですが、最も安価な乗用MTモデルは軽自動車のスズキ「ワゴンR」で、121万7700円(税込み)から2WDの5MT車が設定されています。ちなみに、2017(平成29)年発売モデルに半年遅れで改めて5MTが設定された際、スズキは「MT車を必要とされるお客様に向けて追加」「幅広い年代の多様なお客様のニーズにきめ細かく応えていく」としていました。
他方、スポーツモデルに限らず多くの車種でMT車を設定していたマツダは、2023年9月に「CX-5」と「CX-30」を改良した際に、MT車の設定を廃止しました。これらの動きを鑑みると、電動化をはじめ機能が進化するなかで、自動車メーカーも一般的なモデルにMT車を残すか、はたまた残さないか、各社ごとに揺れているのかもしれません。
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