「高速料金払って下さい!」泣き寝入りもあった“法の穴”を埋めろ 「確実な徴収」のための法改正 何が変わった?
これまでの法律では「訴訟に勝てない」!?
構造改革特別区域法施行令では、高速道路などを通行する「車両から徴収する利用料金」という表現が、「車両“の運転者等”から徴収する利用料金」というものに改められました(構造改革特別区域法施行令 第6条の4。“”は編集部が付した)。
わずかな違いですが、従来の表現では、支払い能力を有する者を指していると解釈できるか、あいまいだったといいます。そこで法令が定める支払い対象を明確化したわけです。
もうひとつ、軽自動車・二輪車による料金不払いがあった場合、高速道路会社などが「軽自動車検査協会などから直接的に使用者の情報を取得」できるようになったこと、すなわち前出の(2)も、大きな変化です。
国にナンバープレートなどの情報が登録される普通車(登録車)の場合は、高速道路会社が運輸支局へ直接、車籍を照会できますが、軽自動車や二輪車は国が情報を登録せず、軽自動車検査協会に届出を行うものであるため、同協会への情報照会には弁護士を介する必要があったといいます。
そのため登録車よりもコストがかかるうえ、前出の法令の“穴”もあるため、やはり踏み込めないケースも多かったそう。
このようなことから、国土交通省の審議会資料によると、2021年度は「使用者が特定できたが、料金を回収できなかった」ケースが推計約560万円、「軽自動車及び二輪車で、ナンバープレートは特定できたが使用者が特定できず料金を回収できなかった」ケースが推計約2700万円あるとされています。
これらは年間の道路料金収入およそ2.5兆円(2021年度)のなかでは微々たる数値かもしれません。しかし今後、高速道路の「ETC専用化」などを推し進めるうえでは重要な課題とみなされていました。
というのも、単に高速道路への誤進入や、料金所機器の通信不良などといったことにも、後日請求で対応する方針が打ち出されているからです。そのたびに、従来の不正通行者と同じような手間をかけるわけにもいきません。今回の法改正は、よりストレスフリーで高速道路を利用できる将来への基礎固めという側面もあるといえそうです。
【了】
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