17年務めた「横須賀の顔」巡洋艦が退役 代わりの最新鋭駆逐艦も“仮”!? 米海軍が目指すのは
今後巡洋艦は順次退役 その後継は
実は、アメリカ海軍ではこのタイコンデロガ級巡洋艦を、2027年までに全艦退役させることとしています。というのも、タイコンデロガ級は最も新しい艦でも1994(平成6)年就役と、すでに30年近くにわたり運用されているため、船体やシステムの老朽化が問題に。改修しようにも、そのための費用を考えると、割に合わないと判断されたのです。
そこで、タイコンデロガ級の機能を代替する艦艇として「アーレイバーク級フライトIII」が選ばれました。これは、従来のアーレイバーク級の拡大発展型で、2023年10月に1番艦の「ジャック・H・ルーカス」が就役する予定です。搭載するイージス・システムは最新の「ベースライン10」、さらにレーダーも従来のものより探知距離や精度が格段に向上した「AN/SPY-6」が装備されます。またフライトIIIでは、艦長の階級が大佐になる予定で、前述した権限などに関する課題は解消する見込みです。
ただし、これはあくまでタイコンデロガ級の役割を代替するという位置づけで、その後継艦は別に整備されます。それが、次期ミサイル駆逐艦「DDG(X)」です。DDG(X)は、タイコンデロガ級およびアーレイバーク級の後継艦で、高出力レーザーや極超音速滑空兵器など、従来のイージス艦よりも強力な兵装を搭載することが予定されています。
横須賀基地に配備されているタイコンデロガ級は、「アンティータム」と「ロバート・スモールズ」のみとなりましたが、これらもあと数年のうちにその姿を消してしまうことになります。今からでも、その姿をしっかり目に焼き付けておいた方がよいかもしれません。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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