“飛行機の墓場”まで34日! 退役旅客機で「長すぎる最後の旅」発生 異例の経緯とは
役目を終えた旅客機は、安置場のある場所まで回送運航を行うのがスタンダードです。そのなかで拠点から目的地まで34日間を要したフライトが存在します。時間がかかりすぎたのにはワケがありました。
国内ではレア機としても知られる「717」
航空会社での運用を終えた旅客機は、その会社の拠点空港から安置場のある空港まで、回送運航を行い、そこで翼を休めることが一般的です。航続距離の短いモデルでは、途中、いくつかの空港を経由し、給油などをしながら、最終目的地まで向かうことも珍しくありませんが、「いくらなんでも時間がかかりすぎだろう」といいたくなるような”最後の旅”が、2023年7月に行われました。
対象機は、オーストラリアの航空会社、カンタス航空グループが保有していたボーイング717「VH-NXR」です。現在同グループでは新型機「エアバスA220」の導入にともなって、20機ある717の退役を進めています。
なお、ボーイング717は日本ではめったに見かけることができないレア機として知られています。ボーイング社のライバル、マクダネル・ダグラス社のヒット作「DC-9」シリーズの系譜を組む「MD-95」として開発された旅客機で、開発途中の1997年、マクドネル・ダグラス社がボーイング社に吸収合併されたことで、型式名を「717」に変更したという経緯を持ちます。
レア機なのは、この機がおもに短距離路線向けで、導入していた航空会社もカンタスグループのほか、欧米系航空会社が多数を占めていたことに由来します。
VH-NXRの”最後の旅”はキャンベラを出発し、”飛行機の墓場”として名高いアメリカ・カリフォルニア州のビクタービル空港を最終目的地とします。
ほかの同社の717の退役回送は、キャンベラからアリススプリングス、ダーヴィンとオーストラリア国内を経由し国外へ。そこからさらにセブ(フィリピン)、中部、新千歳、アンカレッジ(アメリカ)、シアトルをさらに経由し、ビクタービルへ到着するルートがスタンダードです。
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