日本一の鉄道絶景!?「黒部ダムへの第3ルート」開業前に乗ってみた 宇奈月からの関電専用鉄道は「究極の非日常」
厳しい自然を全身で体感
黒部峡谷鉄道は、黒部ダムの建設と維持管理のために作られ、1953(昭和28)年から一般開放された路線です。もちろん道中には集落は皆無で「全行程が秘境」。途中で簡素な駅がいくつかあり、ダム管理所や工事作業員が下りていきます。
終点の欅平駅も、深い谷だけがある秘境駅。観光客は下りると、駅舎と小さな展望台、温泉しか寄る場所がありません。しかし線路は先に続いており、ホームの先はトンネルになっています。
さて、いよいよ「新線区間」です。欅平から工事用のトロッコに乗り換えます。といっても、500mほど暗闇を走ると、そこは終点。線路の先にはエレベーターが待ち受けています。
このエレベーターには線路がついていて、そのまま貨車も運べる仕組みです。貨車は下の線路からそのままエレベーターで上がり、上の線路へと“直通”できます。ここで200mもの高低差を一気に稼いでおり、このおかげで、他の区間が小さな勾配で済むのです。
エレベーターの先には新たな線路が伸びていて、別のバッテリー機関車と3両の客車が待っていました。8人がちぢこまって1つの客車に入り、いざ再出発。長さ6.5km、ガッタンゴットンと30分以上の長いトンネル移動で、日本の究極の奥地の地中を進みます。湿気がかなりあり、客車の窓には「手で動かすワイパー」が取りつけられていました。
何分乗ったのかも忘れかけたころ、急に車内が暑くなってきます。これが「高熱隧道」区間で、地熱によって40度近い気温となります。さらに硫黄の匂いが充満し、まるで露天風呂の気分。ガイドが、黒部ダム建設現場へ必死の思いで工事用トンネルを掘り進めた歴史を説明します。
今でこそ40度ですが、トンネル貫通前は空気の通り道が無かったので、さらに強烈な熱地獄に。掘り進める坑夫に水を掛ける役、さらにそれに水を掛ける役などがいたそうです。高熱隧道区間だけはトンネルのコンクリート吹き付けが無く、地山がむき出しにされていて、雰囲気があります。
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