なぜ「サラリーマンの街=新橋」なのか 他のオフィス街よりも“撮れ高”アリ? その歴史的な背景

「サラリーマンの街」として知られる東京の新橋。メディアのインタビューでもおなじみの街ですが、なぜ、同じくオフィス街を形成する丸の内や品川、新宿を差し置いて新橋なのでしょうか。

ヤミ市の形成と新橋

 話は昭和の太平洋戦争直後に飛びますが、国内各地に、ヤミ市と呼ばれる多数の露店市が出現します。ひどい食糧不足の中、公的配給制度のもとではなく、禁止された流通経路を経た闇物資を扱うのがヤミ市です。配給だけに頼っていたのでは餓死しそうで、半ば黙認されたものでした。

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SL広場に面したサントリー角の巨大看板(2023年9月、内田宗治撮影)。

 東京で大規模なヤミ市ができたのは、上野、新宿、池袋、新橋でした。新橋のヤミ市は数か所ありましたが、当時 新橋、銀座、丸の内一帯の不良グループの親分だった松田義一が率いる関東松田組の手により、それらが西口に移転され、新生マーケットが建設されます。現在のSL広場と線路などに囲まれて立つニュー新橋ビルの部分です。それにあわせるように、周辺で飲み屋街がさらに形成されていきます。こうして後のサラリーマン向け飲み屋街ができあがっていきました。

 加えて1923(大正12)年の関東大震災以後、渋谷、新宿、池袋を起点とした私鉄沿線の宅地化が進み、多くのサラリーマンが住むようになっていました。1939(昭和14)年には現在の東京メトロ銀座線の新橋~渋谷間が全通(浅草~新橋間は1934〈昭和9〉年に全通)。1959(昭和34)年には、赤坂見附駅で銀座線との乗り換えが便利な現・東京メトロ丸ノ内線の池袋~新宿間も全通し、新橋から私鉄の大ターミナルである新宿へも便利になります。

 新橋の近くには、丸の内や大手町などオフィス街があり、多数のサラリーマンがそこで働いたり、ビジネスで訪れたりしています。銀座も近いのですが、特に新橋駅側の5丁目から8丁目付近は、クラブママのいる高級店で、サラリーマンには敷居がとても高いもの。新橋は帰宅の経路としての交通網も発達しており、歴史的に見ても庶民的な店を求めるサラリーマンにとって、いくつもの好条件を揃えているの場所なのでした。

【了】

【え…】ここが「酔っ払ってたら高確率でTVカメラに捕捉される現場」です(笑)

Writer:

フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。

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