中央道の連続ナゾ看板「運転に集中」一体なぜ? じっさい事故多いの? そこは“Jポップの名所”
高速道路の情景をうたった1970年代の名曲。その舞台となった路線で、「運転に集中」とだけ書かれた妙な看板が連続する箇所があります。歌の名所で気を取られる人への注意喚起――設置理由は、それだけではないようです。
「中央フリーウェイ」の名所に今あるもの
「中央フリーウェイ 右に見える競馬場 左はビール工場」の歌詞で知られる荒井由実(松任谷由実)の名曲『中央フリーウェイ』。1976年に発表され、数多くのミュージシャンにカバーされていることでも知られます。最近では世界的に人気を博す「シティポップ」の文脈で知る若い人も多いかもしれません。
この歌は、中央道を東京方面から八王子方面へ向かう実際の情景がうたわれています。右に見える競馬場は府中の東京競馬場、左のビール工場はサントリーの武蔵野ビール工場です。その付近では、ちょっと奇妙な看板が連続するところがあります。
それが、「運転に集中」とだけ書かれた看板です。歌の“名所”であるため、キョロキョロする人が多いのかと思いきや、歌で出てくるのは下り線の情景なのに対し、この看板は上り線だけにあります。
NEXCO中日本八王子支社によると、「運転に集中」看板は、上り線で競馬場に近づく13.7kmポストと13.2kmポスト付近に設置しており、「事故対策」であるといいます。さらにこの付近の上り線では、警察が設置した「路肩走行取締強化路線」などといった看板も設置されています。
上り線は東京競馬場のすぐ隣を通過しており、「競馬場で花火が行われる日などに路肩へ止めないよう対策している」(NEXCO中日本八王子支社)のだそう。実際、花火の日には路肩を封鎖することも行われています。
2023年7月の東京競馬場の花火大会「東京SUGOI花火2023」は、ユーミンのデビュー50周年を記念し、本人も登場するなど盛大に行われました。中央道で見える花火は、歌詞の内容も相まって感慨深いものがあるかもしれませんが、くれぐれも「運転に集中」したいところです。
ちなみに、『中央フリーウェイ』の誕生秘話を、松任谷正隆さんが2023年10月発売の近著『車のある風景』(JAFメディアワークス)で明かしているところによると、この曲は松任谷さんが仕事の帰りに荒井由実さんを都内から八王子までクルマで送るなかでできた曲のようです。そのクルマは“うんこ色のマークII”だったそう。松任谷さんは、あの歌詞を聴くと、冬の中央道を窓全開で走ったことを思い出すそうです。
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