珍事「力士が多すぎて飛べないので臨時便」なぜ発生? 安全運航の“公約”守ったJALの判断
奄美大島に向かうJAL便に体重の重い相撲関係者が詰めかけた結果、急きょ臨時便を設定し、乗客を分散して搭乗させるという措置が取られました。かなりレアケースとも言われますが、どのような判断だったのでしょうか。
「重量バランスは厳守」という航空会社の“公約”
2023年10月12日の奄美大島(鹿児島県)行きのJAL(日本航空)便で“珍事”がありました。同島で開かれた「かごしま国体」の相撲会場へ向かう乗客に体重の重い相撲関係者が集まってしまった結果、重量オーバーになる可能性が高いとして、急きょ臨時便を設定し、乗客を分散して搭乗させたのです。なぜこのような事態が起きたのでしょうか。
重量制限での臨時便を設定するのは、かなりのレアケースと報じられていますが、これは、航空会社が重量・重心位置を管理するという安全運航上の“公約”を守った結果によるものです。今回の臨時便は、運航関係者がフライトごとに変わる機体の重量の把握に、いかに気を使っているかが改めて分かる事例となりました。
航空機が安定して飛ぶには、乗客や貨物、燃料などを合わせた重量の把握と、機内でのきちんとした重量配分が欠かせません。過去には、離陸重量を誤り適切な速度をセットしなかったために、機首上げ操作後、胴体後部を滑走路で擦ってしまった事故もあります。
このため出発前の準備では、重心が定められた範囲内に来るよう求められます。その際に必要な手段や書式・形式は、「ウエイト・アンド・バランス・マニフェスト」と呼ばれています。「マニフェスト」は日本では20年ほど前から、国会議員の選挙の時に「選挙公約」と訳されて耳にする機会が増えましたが、実は運航関係者のあいだでは、それ以前から使われてきました。
ただ、重量の把握は大切ですが、乗客数が多いジェット旅客機では基本的に搭乗者の体重を1人ずつ測ることはしていません。どのように重量を測っているのでしょうか。
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