イスラエル鉄壁のバリア「アイアンドーム」 対ハマスでどうしても“割り切り”必要なワケ
イスラエルの迎撃ミサイル 命中率は90%とも
ロケット弾を迎撃しているのが、イスラエル軍の防空システム「アイアンドーム」です。近距離を飛翔するロケット弾や砲弾、迫撃砲弾を空中で迎撃するCounter-RAMと呼ばれるカテゴリーの、イスラエル製地対空ミサイルです。
今回の戦争における迎撃戦の様子はまだ分かりません。ただ2021年5月11日に、ハマスが約1週間でロケット弾を3000発以上発射した際、市街地に到達した1500発のうち1400発以上が「アイアンドーム」によって迎撃されたといわれます。人口密集地に着弾したのは100発以下でした。
「ピストルの弾を別のピストルの弾で撃ち落とそうとするものだ」――かつて弾道ミサイル防衛の実効性に疑問視する一部から揶揄的にいわれましたが、「アイアンドーム」はその弾道ミサイル防衛と同じ発想の、飛んで来る砲弾やロケット弾などを近距離で迎撃できる地対空ミサイルです。
「アイアンドーム」は指揮管制ユニット、EL/M-2084探知/追跡レーダー、対空ミサイル「タミル」を装填した20連装ミサイルランチャーによって構成され、各ユニットはトラック積載などで簡単に移動できます。1台の指揮管制ユニットとレーダー、3基から4基のミサイルランチャーで大隊規模の1個編成となり、これを基本単位とし、セキュアワイヤレスでリンクされます。2005(平成17)年から開発が始まり、2011(平成23)年3月27日に最初の大隊が配備されました。「アーミーテクノロジー」という軍事情報サイトによると、実戦の命中率は90%とされています。
1個大隊でカバーできる範囲は100平方キロメートルから150平方キロメートルですが、「アイアンドーム」は限られた地域の局地防空用です。迎撃範囲は限定され、高価値地域以外に落下すると識別されたものは迎撃しません。無駄弾を撃たないので迎撃率の数字は上がります。2021年5月の実戦では、飛来した約3000発のうち半数は着弾しても被害が少ないと識別され、迎撃されていません。
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