まだ戦前気分!? アメリカ軍が古き良き「ボンネット型トラック」を使い続ける「4つの理由」とは

現在一般的に見るトラックは「キャブオーバー型」という形式ですが、昔はエンジンルームが前に長く伸びた「ボンネット型」でした。そのボンネット型をいまだに使い続けているのが、アメリカ軍です。

実戦でも「ボンネット最強」!?

 4番目は「軍事的理由」で、前述の点と重なりますが、戦場においてボンネット型の方が運転手の身を守れるという点も重要です。

 前輪は運転席のずっと前にあるので、地雷を踏んでも運転手への被害を低く抑えられます。一方キャブオーバー型は運転台の直下に前輪があるため、被害が直接運転手に及ぶ確率が高くなるのです。

 また戦場を走行中、突然眼前に機関銃を持った敵兵が現れ乱射した時でも、ボンネット型ならば運転手は咄嗟に身を屈め一気に走り去れば、ボンネットに収められたエンジン・ブロックが銃弾を弾き、運転手が無傷で難を逃れられる可能性も高くなります。しかしキャブオーバー型ではこの芸当が望めません。

 突然道路上にバリケードが姿を現しても、ボンネット型ならそのまま突進してバリケードを破壊し突破することも可能です。キャブオーバー型なら運転手が負傷するリスクはぐっと高まります。

 エンジンの故障の際にもボンネット型の方が優位でしょう。ボンネットを開ければ簡単にいじくることができ、その場で修理不能な場合も、工作車が備えるクレーンでエンジンを引っ張り出して簡単に交換できます。いっぽうキャブオーバー型の場合、運転台全体を前方にジャック・ナイフのように傾けてエンジン・ルームにアクセスするという仕組みですが、万が一この箇所が壊れると、運転手1人ではどうにもなりません。

 さて、このように長らくボンネット型全盛のアメリカ軍ですが、実は最近はFMTV(中型戦術車両ファミリー)というキャブオーバー型が普及しつつあります。

 もともとオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社が開発した車両で、最終的に米オシュコシュ社がライセンスを獲得し大型軍用トラックの更新用として現在着々と置き換わっているようです。近い将来、アメリカ軍でも古き良きボンネットの雄姿を拝むことができなくなるかもしれません。

【了】

【画像】デカっ…!これが現役の米軍「ボンネット型トラック」です

Writer:

1962年、東京生まれ。法政大学文学部地理学科卒業後、ビジネス雑誌などの各編集長を経てフリージャーナリストに。物流、電機・通信、防衛、旅行、ホテル、テーマパーク業界を得意とする。著書(共著含む)多数。日本大学で非常勤講師(国際法)の経験もある。

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