なんと「75番艦」米海軍のイージス駆逐艦“次世代型”へ 性能別格すぎて艦長階級もランクアップ!? 何が違うのか
空母艦隊の防空司令塔に
さらに、「ジャック・H・ルーカス」を含めたアーレイバーク級フライトIIIは、2027年までに全艦が退役する予定のタイコンデロガ級巡洋艦の役割を引き継ぐことになっています。
具体的には、戦闘機を含む各種の作戦機を搭載する航空母艦を中心に構成される空母打撃群のなかで、アーレイバーク級フライトIIIは、同打撃群を敵の対艦ミサイルなどから防護するための艦隊防空の中枢として機能する役割が付与されます。
つまり、今後はフライトIIIが防空の司令塔として、その他のアーレイバーク級と共に迫りくる敵のミサイルなどの脅威に対処することとなります。しかし、問題はタイコンデロガ級の艦長が大佐であったのに対して、アーレイバーク級ではその一つ下の階級である中佐が艦長を務めてきたという点です。これでは、他の艦艇との連携にも指揮系統上の問題が生ずる可能性があります。そこで、フライトIIIでは艦長の階級が大佐となっており、これによりこうした問題は解消する見込みです。
「ジャック・H・ルーカス」が実戦運用可能な状態となる初期作戦能力(IOC)の獲得は2024年とされており、今後は中国への対応を見据えてフライトIII仕様の同型艦が横須賀基地に配備されることも予想されます。
もしかしたら近い将来、「ジャック・H・ルーカス」自体が日本に顔を見せるかもしれません。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
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