「あれ、橋がなくなってる…」 高速道路の「跨道橋」が次々に撤去されるワケ 実は高速利用者にメリットも?
人が通らなくなったら動物が……
たとえば山梨県西桂町で中央道をまたいでいた2本の跨道橋は、1969年の建設当時こそ木材の搬出で多くの通行があったものの、21世紀に入ると通行する人がほとんどいなくなり、山から降りてきた動物が橋を渡り作物を荒らしていたそう。そこで町は両橋とも防護柵を設けて通行止めにしましたが、後世にリスクを残さない観点から、2017年に撤去を実施しました。これは老朽橋撤去の事例としてよく取り上げられるものです。
NEXCOなどは橋の撤去について、一時的に負担が生じたとしても、長期的に見れば有効な手段になると説明しています。
また、跨道橋の撤去が、下を走る高速道路の利用者にとってもメリットになることがあります。11月に行われる関越道の跨道橋撤去では、これにより関越道の当該区間の拡幅が可能になるため、付加車線整備の一環としても位置付けられています。10月の東北道で行われた跨道橋撤去も、高速道路の側道になる国道のバイパス整備の一環で行われました。
使われている跨道橋ももちろん多いですが、橋の存在が逆に支障となり、高速道路側の拡幅などを難しくしている箇所もあるのです。
ちなみに、高速道路建設時の機能補償で設けられた橋は道路に限りません。関越道では10年前の2013年、今回とほぼ同じ区間を通行止めしたうえで「鉄道橋」の撤去が実施されました。
これは、東武東上線の高坂駅から延びていたセメント会社の貨物線の橋で、1984年の廃止から架線柱なども残したまま放置状態であったため、撤去の際は鉄道ファンの間でも話題になったようです。このときも、関越道 坂戸西スマートICの新設と付加車線の整備工事に合わせて跨道橋の撤去が行われています。
【了】
使われていないインフラは国策として撤去していくべき。