横浜になぜか「北方領土へ行くための船」現る! “住める船内“異例の公開は大盛況「大切な問題だ」
北方領土関連以外にも使い道あるかも
そこで北対協では、北方領土問題に対する理解・関心を広げるため「えとぴりか」を母港の根室だけでなく、横浜、神戸、別府の各港で一般公開することにしたのです。
その一環で横浜の新港ふ頭に接岸した「えとぴりか」。なんと3日間で3274人も来場しました。これは新港ふ頭客船ターミナル(ハンマーヘッド)自体が横浜・みなとみらい地区の観光スポットであることと、臨港パークや赤レンガ倉庫で大規模なイベントが行われており、それを目的に来た人たちの目に留まり乗船者の増加につながったようです。
梶原さんは「ここまで多くの方々に来場してもらえるとは思っていませんでした」と驚くとともに、「来場者から『楽しかった』『勉強になった』『大切な問題だ』といった声が多く聞かれた。ウクライナ情勢でレギュラー事業が困難な中で、多くの方々へ北方領土問題への理解と関心を深めていただけたのではないか」とコメントしていました。
横浜港には多くの客船が寄港しますが、船内を見せることは非常に珍しく、事前の予約もなく気軽に見学できる「えとぴりか」の公開は、貴重な機会だと筆者(深水千翔:海事ライター)自身感じました。船内を巡っていると小さい子や愛犬を連れて見学する家族連れや若い人たちの姿もありました。
現在、用途が限られている「えとぴりか」ですが、北方四島の啓発事業はもちろんのこと、余裕ある船内設備と、どこへでも入港できる汎用性を生かせば、災害時の避難者受け入れ、「洋上の仮設住宅」などといった形でも活用できるのではないかと筆者は感じました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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