海自護衛艦に陸自の大砲載せて…可能? 制圧射撃を“海の上から”するには 意外と外しやすい?

最近、陸自ではりゅう弾砲による洋上目標への射撃訓練を始めています。これは我が国の離島を占領しようと侵攻してくる敵艦船を攻撃できるようにするため。でも、野砲は射程が限定的。それなら船の上から撃ったらどうなんでしょうか。

護衛艦の艦砲射撃でOKかも…

 では、野砲で命中率を改善できるものはないのか。そこで登場するのが「エクスカリバー」と呼ばれる砲弾の使用です。

 正式名M982「エクスカリバー」は155mm砲用の精密誘導砲弾です。弾頭部分にGPS誘導装置が取り付けられているのが特徴で、これにより半数必中界(平均誤差半径)が5mから25m程度といわれます。要は、地上を進む味方から100mほど先を狙って落とすことができるそうです。

 もちろん、味方部隊の上陸は艦砲射撃が終わってから開始されるのですが、このGPS誘導榴弾砲があれば、上陸直前まで射撃し続けることができるでしょう。

 このエクスカリバーの他に、「XM1156精密誘導キット」というものも、アメリカ陸軍によって開発されています。

Large 20231108 01
広い飛行甲板を持つ、いずも型護衛艦(手前)とひゅうが型護衛艦(武若雅哉撮影)。

 こうしたGPS誘導砲弾を用いれば、大幅に射撃性を改善することができると考えられます。ただ、ネックは砲弾の価格です。一般的な155mmりゅう弾は、信管と弾体セットでおおよそ10万円といわれていますが、GPS誘導タイプの155mmりゅう弾だと倍以上、最低でも30万円ほど掛かるそうです。

 10発撃って1発しか当たらない従来砲弾よりもコストパフォーマンス(費用対効果)は優れているといえますが、数多く用いればかなり高くつくでしょう。

 19WHSPと護衛艦を組み合わせた艦上戦砲隊は、GPS誘導りゅう弾を使用すれば無理ではないことがわかりました。ただ、そこまでして野砲を用いるメリットがあるのか、加えてそもそも数少ない大型護衛艦や輸送艦を海上自衛隊が数日間に渡って陸自のために運用してくれるのかというと、それはかなりハードルが高そうです。

 最近では陸上自衛隊も、155mmりゅう弾砲FH70による洋上目標への射撃訓練を行うようになっていますが、実戦では素直にミサイル、または護衛艦による艦砲射撃、航空機からの対地支援攻撃を使った方が現実的なのかもしれません。

【了】

【GPS誘導砲弾ってこんな形】え、これが陸上自衛隊に配備されている標的船です(写真)

Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  4. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス