「ゲーム世代向けの戦車」とは? イスラエルのメルカバ改良版「バラク」 現実と仮想ここまで混濁
イスラエルが同国の主力戦車「メルカバMk4.m」とよく似た外見の戦車「バラク」を量産するようです。市街地戦を想定して、ハードウェアは前世代的であれソフトウェアを更新し、“若い兵士が扱いやすいよう”工夫が凝らされているといいます。
近距離戦闘の能力を強化
ロシア・ウクライナ戦争をきっかけに、戦車の必要性が見直されるという最近の潮流が影響したかはわかりませんが、2023年9月19日にイスラエル陸軍は、メルカバMk.5「バラク」の量産を発表しました。その後1か月も経たないうちにハマス・イスラエル戦争が勃発し、報道ではメルカバをはじめとする機甲部隊がガザ地区に侵入しているようです。
ただ、そこに敵機甲部隊はいません。メルカバの相手は、市街地に立てこもりゲリラ戦術を使うイスラム組織「ハマス」で、繰り広げられるのはロシア・ウクライナ戦争とは違う狭隘な市街地戦闘、近距離戦闘です。
メルカバは1979(昭和54)年に運用を開始したイスラエル独特の戦車です。もともとは敵対する周辺のアラブ諸国の旧ソ連製戦車T-54/55やT-62、T-72に対抗するために開発され、多くの実戦を経験してきました。しかし最近では、他国軍との対機甲戦闘は発生せず、2018年7月には「改修型バラク」の開発が公表されていたものの予算の優先順位は低く、量産は先送りにされていました。
バラクの外見は前型のMk4.mとほとんど違いがありません。見分け方は、砲塔上の車長用サイト、パノラマサイトに2個の四角いレンズがあればMk4、丸いレンズであればバラクです。しかし外見上の違いはわずかでも、中身は大きく進歩しています。
バラクの特徴は市街地での近距離戦闘の能力を強化するため、マン・マシンインターフェイスのソフトウェアが大きく改善されたことです。「状況認識、攻撃力、思考制御の面でまったく新しい性能を備えている」と、開発したエルビット社の幹部は答えています。
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