デカい重い、けど速い!! 「空港の消防車」超絶スペックゆえの特殊形状とは? お値段もスゴイ!

操縦するのは消防士ではなくていい?

 こうした要求の高さが、空港用化学消防車の外見的な特徴にも表れています。空港用化学消防車の製造を行っているモリタのMAF-100Cを例に出すと、全長は11m。1万リットルの水を満載すると35トンという重量にも関わらず最高速度は100km/hで、80km/hに加速するまでの所要時間は40秒以内という高出力のエンジンを備えています。一般的な乗用車で重量は1~2トン、大型バスでも10トンなので、かなり重いうえに優れた加速性を持ち合わせなければなりません。
  
 基本的に現在の空港用化学消防車は、運転手、ノズル操作員、補助員という役割で3人乗りが基本。通常は、高熱や爆発から身を守るため車内から放水操作を行い、メインのノズルから大量の水を放射します。航空機の燃料は左右の主翼内にあるため、航空機火災の際には車両を動かしながらノズルを使って消火活動を行った方が、安全に効率よく消火できます。ただ状況によっては、航空機内に入って消火活動をすることもあり、その場合は運転手以外の2名が手持ちノズルを用いて消火を担当します。

 ほかにも、翼内の燃料タンクから燃料が漏れて路面に延焼するケースも多いため、車体下部を守る噴霧装置がついているのが特徴です。

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化学消防車が放水する様子。車両下部から路面にも散水が行われている(画像:海上自衛隊)。

 ちなみに、空港にある消防車は、公務員の消防士ではなく、空港会社、警備会社などの職員が運用します。車両は、ナンバープレートを取得して公道を走ることもできますが、一般的な消防車が3000万円程度なのに対し、空港用化学消防車は約2億円とケタ違いに高く、街の消火作業には性能が過剰なため、さすがに購入する自治体はあまりないようです。

【了】

※一部修正しました(11月17日17時28分)。

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