米軍「イスラエル沖に原子力潜水艦を派遣した」の裏メッセージとは? 機密チラ見せのワケ 派遣艦は“最恐兵器”

10年ほど前に威力見せつけた例も

 実は、すでに今から10年ほど前に、改オハイオ級の巡航ミサイル搭載原潜がその高い攻撃能力を世間に見せつけたことがあります。それは2011年3月、リビアに対して行った「オデッセイの夜明け」作戦でのことです。このとき改オハイオ級の「フロリダ」が初めて実戦に参加しましたが、約100発もの「トマホーク」ミサイルをリビア国内の目標に向けて撃ち込んだのです。

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改オハイオ級巡航ミサイル原潜。船体上部に設置された黒い円筒状のものが特殊部隊用のドライデッキ・シェルター(画像:アメリカ海軍)。

 今回、アメリカ海軍がSNSで公開した潜水艦の画像には、船体上部に円筒状のドライデッキ・シェルターが搭載されていたことから、巡航ミサイル原潜兼特殊部隊母艦型の改オハイオ級だとわかります。

 中東地域には、前出の「フロリダ」によるリビア攻撃の記憶がまだ残っているでしょうから、改オハイオ級の画像を見せてその存在を誇示することは、明らかに牽制となります。加えて同級なら、巡航ミサイル攻撃だけでなく、「SEALs」を送り込んで特殊作戦を実施するなどアメリカの強い意志を見せつけることも可能です。

 こういったことを鑑みると、アメリカの意向を強く主張する、いわゆる「砲艦外交」といわれる手段として、「ハマス」を含むパレスチナ自治政府とイスラエル、さらにはエジプトを始めとしたアラブ諸国、そういった関係者たちへのメッセージが、今回の改オハイオ級の地中海への派遣とその画像の公開には含まれているのではないかと筆者(白石 光:戦史研究家)は捉えています。

【了】

【激レアかも】機密の塊 オハイオ級原潜の艦内(写真)

Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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