時代は「無人機空母」へ? 加速する艦載型無人機の開発競争 「いずも型にいいですよ!」売り込みも
気鋭のバイラクタル、日本にもアピールか
バイラクタルTB3は、ウクライナ軍が使用しロシアと戦いで大きな戦果を挙げた「バイラクタルTB2」を海軍向けに進化させたUASです。
基本設計はバイラクタルTB2を踏襲しているものの、全長は8.35m(TB2は6.5m)、主翼幅は14m(同12m)と大型化。エンジンはバイラクタルTB2に使用されているロタックス912(100馬力)から、トルコのTEIが開発した、より強力なPDI 170 (172 馬力)に変更されています。
機体の大型化とエンジンの強化により、バイラクタルTB3の最大離陸重量は1450kg(バイラクタルTB2は750kg)、兵装やセンサーなどの積載量は280kg(同130kg)へと、それぞれ強化されています。
バイラクタルTB3はもともと、トルコ海軍のアナドル級強襲揚陸艦を活用するために開発されたUASですが、バイカル・テクノロジーでゼネラル・マネージャーを務めるハルク・バイラクタル氏は2022年3月8日付のNIKKEI ASIAに掲載されたインタビュー記事の中で、「日本も早く戦闘用UASを導入すべきで、バイラクタルTB3はいずも型ヘリコプター搭載護衛艦にフィットする」と述べており、日本へのバイラクタルTB3のセールスに関心を示しています。
またGA-ASIもMQ-9BのSTOLアップグレードキットについて、カタパルトや航空機の着艦に使用するアレスティングギアを持たない、全通甲板を備えた大型の軍艦を保有する「その他の海軍」でも導入が検討されていると述べています。
海上自衛隊がどのような判断を下すのかを予測するのは難しいのですが、固定翼UASの空母や強襲揚陸艦への搭載は今後トレンドとなっていく可能性が高く、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦の飛行甲板に固定翼UASが並ぶ日もそう遠くはない……のかもしれません。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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