ことごとく古い陸自の「キャタピラ装甲車」 そもそも必要? 明かされた“三菱の提案”とは

三菱重工業が、いわゆるキャタピラのついた装軌式装甲車の共通車体を開発していると発表。タイヤで走る装輪式車両が重視されるなかで、陸自の装軌式車両は老朽化が進んでいます。そもそも装軌式は必要なのか、現状をどう打破するのでしょうか。

装輪式の有利とは限らない? 見直される装軌式

 装軌式装甲車には装輪装甲車に比べて、ぬかるんだ土地や雪上、悪路といった、いわゆる「不整地」での走行能力が高いという長所があります。

 陸上自衛隊は16式機動戦闘車やAMV XPなどの装輪式装甲車の整備を進めており、いずれ本州の部隊では装輪式装甲車が主力となる予定ですが、不整地が多い北海道などでは、一定数の装軌式装甲車が必要との意見も根強く存在します。

 装軌式装甲車が走行に使用する無限軌道は、車輪に比べて大きな重量を支えられるため、装輪装甲車に比べて重量の増加を余儀なくされる装甲防御力の強化がしやすく、また重量の嵩む大口径の砲や砲塔などを搭載しやすいという長所もあります。

 21世紀に入って対テロ戦などのいわゆる「非正規戦」が増加して以降、各国の陸軍は武装集団やテロリストなどが相手であれば十分な防御力を持ち、かつ機動性に優れた装輪式装甲車の整備に力を注いできました。

 しかし中国やロシアなどの脅威が高まり、国家対国家の「正規戦」が起こる可能性が高まった2010年代後半からは、アメリカ陸軍の「AMPV」などをはじめ、防御力の大きな装軌式装甲車の新規導入を進める国も増えつつあります。

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アメリカ陸軍のAMPV。Armored Multi-Purpose Vehicleの略(画像:アメリカ陸軍)。

 北海道が直面するロシアの軍事的脅威は依然として高く、老朽化した装甲車を使い続けることは、整備や補給などで隊員の負担を増やしてしまいます。

 防衛省・陸上自衛隊にとって北海道が主な配備先となる装軌式装甲車の整備は喫緊の課題ではないのかもしれませんが、防衛装備庁と三菱重工業が行っている研究の成果を活用するにせよ、外国企業から導入するにせよ、そろそろ新しい装軌式装甲車の導入についても、本腰を入れて考えていく必要はあると筆者は思います。

【了】

【フォルムがスゴ…】これが新型「装軌式」装甲車と三菱の“提案”です(写真)

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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