「二酸化炭素を大量に“運ぶ”船」ついに完成 まだ見ぬCO2輸送ビジネス「新しいエネルギー産業」の全貌とは
三菱重工が液化CO2運搬船を完成。世界で排出削減が進められるCO2の輸送が、「新しいエネルギー産業」の一翼を担い、新たなビジネスチャンスとして世界の注目を集めています。一体、どういうことなのでしょうか。
日本の「造船復活」のカギに?
実証試験では、石炭火力発電所(関西電力舞鶴発電所)で排出されたCO2を出荷基地で液化し、貯蔵タンクからローディングアームを通じて液化CO2を「えくすくぅる」に積載、北海道の苫小牧市まで海上輸送します。苫小牧では再びローディングアームを通じて液化CO2を陸上基地(北海道電力苫小牧発電所内)で荷揚げします。
カーゴタンクには、さまざまな温度で液化したCO2を積載し、圧力などを含めタンク内の状態を変更して繰り返し輸送する計画です。これにより、陸上基地の荷役設備や貯蔵用タンクの機能性も併せて評価し、船舶一貫輸送に最適なCO2の輸送条件を特定することで、大量輸送技術の開発につなげていきます。
こうした液化CO2輸送船の開発に、三菱造船は力を入れています。2022年6月には液化CO2船に搭載する球形カーゴタンクシステムの基本設計承認(AiP)をフランス船級協会ビューロベリタスから取得。2023年5月には日本シップヤード(NSY)と外航液化CO2輸送船の共同開発に向けた検討を開始したと発表しました。さらに6月には日本郵船と共に技術開発を進めていた「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」のAiPを、日本海事協会(NK)から取得したことを明らかにしています。
笹山氏が「液化CO2輸送船には日本だけでなく、アジア、欧州、中東の各産油国からも熱い視線が送られている。(造船の面でも)LNG船で失いつつあった市場を、液化CO2輸送船でしっかり取り戻すことにもつながるのではないか」と話すように、日本造船復活が「えくすくぅる」から始まるかもしれません。
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