派手すぎるだろ! 中露共同訓練に「ロシア版ブルーインパルス機」出現 アピールだけじゃなさそうな“奇行”の背景

2023年12月14日、中国とロシアの軍用機が東シナ海と日本海の上空で共同飛行を実施しましたが、この中に東アジアではまず見られないアクロバットチーム用の派手な機体がいました。なぜそんな機体が日本近傍を飛んでいたのでしょうか。

なぜアクロチームの機体が日本近傍に?

 今回の中露の共同飛行に「ルースキエ・ヴィーチャズィ」の所属機と思われるSu-35Sが参加した正確な理由は不明です。しかし、現在のロシア情勢などから仮説を立てることはできます。

 ひとつは、目立つ機体をワザと参加させたというものです。中露両国による日本周辺での共同飛行は2022年11月にも行われており、昨年12月には共同演習、9月には海軍艦艇による共同航行も実施されています。

 防衛省および自衛隊もこれらの動向を「戦略的連携を広くアピール」するものと分析しています。今回の共同飛行も、日本をはじめとする周辺国に注目されるのは中露側も事前に理解していることは間違いなく、そのために目立つ戦闘機をわざわざ持ってきたというワケです。

 しかし、「ルースキエ・ヴィーチャズィ」の本拠地はモスクワ郊外のクビンカ基地であり、あの派手なSu-35Sも通常はそこを拠点に運用されています。それを一度の作戦のために、ロシア極東地域の基地に持ち込むのは、コストや手間の面で効率が悪いといえるでしょう。

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2022年に「ルースキエ・ヴィーチャズィ」にSu-35Sが引き渡された時のセレモニーの写真(画像:ロシア国防省)。

 そこでもうひとつ思いつく仮説は、ロシア軍の戦闘機が不足している可能性です。

 2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシア軍の戦闘機は戦闘による損失や損耗が続いています。また、機体はあっても、侵攻に伴って各国の制裁措置を受けたことで、機体の運用を支える部品の供給にも問題が出てきています。そのような戦闘機の不足を補うために、「ルースキエ・ヴィーチャズィ」の機体を一般飛行隊に回したのかもしれません。

「ルースキエ・ヴィーチャズィ」では、Su-35S以外にSu-30SM(複座型)も運用しているため、一部の機体を他部隊へ放出しても問題がなかったと考えられます。

 いずれの理由にしても、エアショーといったイベント以外で「ルースキエ・ヴィーチャズィ」の派手なフランカーの姿が報道されることで、世間を大きく賑わせたのは確かです。ロシア軍の本当の目的は現時点では不明ですが、Su-35Sのアクロバット機として塗られたあの派手な三色の塗装は、それを塗った意図の通りに世界の注目を集めたようです。

【了】

【今回は姿見せず】これが「ロシアン・ナイツ」の別機種です。Su-35との識別ポイントも(写真)

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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