国産潜水艦、初輸出なるか? カナダが日本の最新鋭艦に熱い視線 要件ピッタリ?

日本にとってカナダの計画が他人事でない理由

 現在のところ、近代化改修によってヴィクトリア級は2030年代までは運用が継続される予定ですが、いずれは更新が必要となります。そこで注目されているのが、日本の潜水艦です。

 現在のところ、カナダ海軍が次期潜水艦に求める能力としては、以下の4点が重要視されています。
1、 ディーゼルエンジンと発電機、バッテリーなどからなる通常動力型(非原子力)
2、 優れた長距離航行性能
3、 北極海での運用能力
4、 アメリカ製の兵器および戦闘システムの搭載が可能

 そして、これらの要求を満たす潜水艦の1つとして、関係者のあいだでは海上自衛隊の最新鋭潜水艦、たいげい型の名前が挙がっているのです。

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海上自衛隊の最新鋭潜水艦「たいげい」(画像:海上自衛隊)。

 従来の鉛蓄電池と比べて長期間の潜航を可能とするリチウムイオン電池を搭載していることから、たいげい型の航行性能は既存の通常動力型潜水艦と比較して大きく向上しています。また、アメリカ製の各種システムについても、日米間の緊密な協力関係を背景として、問題なく搭載することができると考えられます。

 こうした理由から、たいげい型に注目が集まっているというわけです。実際に、カナダ海軍協会(NAC)が刊行する海軍専門誌「STARSHELL」(2023年冬号)においても、次期潜水艦候補の1つとして、たいげい型の名前が挙げられています。

 さらに、現在、日本とカナダの間では軍事関連の情報漏洩などを防ぐための「情報保護協定」締結に関する協議が進められています。この情報保護協定では、国防当局間のみならず、軍事に関連する産業や技術関係の情報もカバーされるため、日本とカナダの間で防衛産業に関する連携強化が期待されています。

 機密の塊である潜水艦に関しては、まさにこの協定の存在がカギを握るといっても過言ではないでしょう。

 近年、安全保障面での関係強化を推し進めている日本とカナダですが、もしかすると将来、日本の潜水艦がカナダ防衛の中核を担っているかもしれません。

【了】

【見たことある?】これが海上自衛隊の潜水艦のトイレです(写真)

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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