大阪の有名企業に「巨大な高射砲」なぜ!? 日本唯一のお宝 それは専務の夢であり「資料です」
他にもある海洋堂コレクション
巨大かつ貴重なお宝「8.8cm Flak37」を一通り見せてもらいましたが、この海洋堂の本社倉庫と隣接するガレージには、ほかにも実物の2cm(20mm)Flak38型対空機関砲や水陸両用車の「シュビムワーゲン」、半装軌式牽引車の「ケッテンクラート」、レプリカの「キューベルワーゲン」などといった、第2次大戦中に使用されたドイツ軍兵器や車両が数多く保管されています。
これらは、全て模型好きで、かつミリタリー大好きな宮脇専務が少年時代の夢を実現すると共に会社の資料として購入したもので、その一部は同社の製品開発にも役立っています。
また、これらドイツ軍兵器は、時おり関西で行われるミリタリーイベントなどにも貸し出されており、8.8cm高射砲は以前にタミヤ製の1/35スケールキットの箱絵になぞらえて、ドイツ兵の軍装姿のモデルを配置して十字型砲架を広げた撮影会などを倉庫前で行うなどしています。ただ、モノが大き過ぎて表に出して展開するだけでも10名以上の人員が必要なため、現状では出動する機会も減っているそうです。
とはいえ、せっかく購入した日本に1門しかない実物の8.8cm高射砲をこのまま倉庫で眠らせているのは、宮脇専務ももったいないと感じているそう。そのため、彼としてもゆくゆくは大阪府や高知県にある海洋堂の資料館および博物館などで常設展示するのを目指したいとのことでした。
いつの日か、この貴重な大戦中の実物高射砲が一般公開で見られるようになるのを、首を長くして待ちたいと、ひとしきり見学させてもらったあと、改めて感じました。
【了】
Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)
1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集~チハから新砲塔チハまで~」「第二次大戦のイタリア軍装写真集 」など。
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