なんじゃこりゃ! 風を全力で味方にする「異形の貨物船」も登場 2024年注目の新造船 世界初&国内初が続々

「水素船」にまもなく乗れる! 「新燃料船」続々

 このほか、水素やアンモニア、メタノールなどゼロエミッションの実現に向けて次世代燃料を使用する船も登場します。

 商船三井は国内初となるメタノール焚きエンジンを搭載する内航タンカー(570総トン)をカナサシ重工(静岡市)で建造し、 12月に竣工させることを明らかにしています。

 また同社グループの商船三井テクノトレードが出資するMOTENA-Seaが発注し、広島の本瓦造船で3月竣工予定のハイブリッド旅客船「HANARIA」は、ヤンマーが開発した舶用水素燃料電池システムを搭載した日本初の水素燃料“旅客船”です。航行時には水素燃料電池とリチウムイオンバッテリー、バイオディーゼル燃料を選択することができます。

 日本郵船からは、世界初となるアンモニア燃料タグボートが6月に登場する予定です。同社のLNG燃料タグボート「魁」(272総トン)をアンモニア燃料船に改造する工事を傘下の京浜ドック追浜工場(神奈川県横須賀市)で行っています。

 また2024年中には、川崎重工業で建造しているLPG(液化石油ガス)も燃料として使用可能な、2元燃料エンジンを搭載したVLGC(大型LPG・アンモニア運搬船)も竣工する予定。日本郵船は2026年度を目途にアンモニア燃料アンモニア輸送船(AFAGC)の開発も行っており、着実にアンモニア関連の船舶が増えていきます。

 常石造船ではベルギー海運大手CMBと開発を進めている「水素混焼エンジン搭載型タグボート」を建造中です。同エンジンは新開発のもので、水素専焼、水素(+重油)混焼、軽油専焼の3モードで運航可能なシステムとします。経済性や運用面を考慮して液体水素ではなく高圧水素ガスを採用しているのも特徴です。また高圧ガスを取り扱う機器類については極力市販されているものを活用します。

 また常石造船では、国内初となるLNG専焼エンジンとリチウムイオンバッテリーを組み合わせたハイブリッド推進システムを搭載する石灰石運搬船も、2024年に竣工する見通しとなっています。

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日本初の水素燃料旅客船となるHANARIA(画像:MOTENA-Sea)。

 このほか、三菱重工下関造船所で建造している日本サルヴェージの海難救助船や、海上保安庁が25年ぶりに整備する5500トン型の大型練習船「いつくしま」が登場する予定です。

【了】

【なんだこれは…】異形の風力装置“全部盛り船”ほか、注目の新造船(写真で見る)

Writer: 深水千翔(海事ライター)

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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