山陽道に「トンネルと“山”」新設!? 風景を一変させる異例の工事 詳細あきらかに
山を山で止めるのです!
山を削った本線上に“山”を作る!?
NEXCO3社(東日本、中日本、西日本)は2024年1月16日、今後の高速道路における更新計画について発表しました。そのなかで、異例の対策を行う山陽道「木津地区」の具体的な工事手法について紹介しています。
NEXCO3社が管理する高速道路では、約4割で開通から40年以上が経過していることから、構造物の“造り替え”に相当する更新事業が約1360kmで行われています。2023年1月、さらに更新が必要な箇所およそ500kmが追加選定されました。追加の事業費は約1兆円規模とされています。
その新たに更新が必要な箇所の代表例として挙げられているもののひとつが、NEXCO西日本管内の山陽道「木津地区」(神戸市西区)の切土区間です。神戸淡路鳴門道(明石海峡大橋方面)と新名神をつなぐルートとなっている山陽道「木見支線」の三木JCT~神戸西ICにあたります。
ここは、道路上にトンネル、正確にはカルバート(函型のコンクリート構造物)を設置し、その上に大規模な盛土をします。いわば、山を切り開いたところを、再び「山」にするというもので、クルマはそこをトンネル(カルバート)でくぐるようになります。
同区間は1998年開通と比較的新しいですが、建設当時から切土のり面に変状が発生し、その後なんども補強対策を実施しても「変状が止まらない状況」なのだそう。抜本的な対策として、「“山”で“山”を止める」という工法を実施します。
今回は、通行止めを行うことなく工事を実施する施工方法の計画も示されました。4車線のうち、まず真ん中の2車線を規制してカルバートの中壁を構築、その後は上り線、下り線で対面通行を行いながら、カルバートの躯体を順次構築するといいます。“山”になる「押さえ盛土」はカルバート上に構築しますが、この時点での交通規制の形態は検討中だそうです。
このほか、新たな更新箇所の代表例としては、海からの塩害の影響が大きな西湘バイパスの滄浪(そうろう)橋(神奈川県、NEXCO中日本)、下路路盤の変形が確認されている関越道の土樽地区(新潟県、NEXCO東日本)が挙げられています。
【了】
安全保障上仕方ないことではありますが、巡り巡って自然環境や付近に生息する生物にも良い影響を与えそうですね。