自衛隊はなぜこうも「雪に強い」? 高速道路の大雪立ち往生にも“災害派遣” 知られざる雪装備の数々
沖縄にも配備されている雪中使用OKな装備って?
また、自衛隊の車両の中では最もポピュラーといえる「大型トラック(3 1/2tトラック)」や「高機動車」なども、雪上車ほどではないものの、圧倒的に優れた雪上走行能力を持っています。
大型トラックの最低地上高は330mm、高機動車は最低地上高が420mmとなっています。加えてこれら車両は、不整地での運用を考慮して全輪駆動が基本です。また専用のスタッドレスタイヤや鉄のタイヤチェーンも装備しているため、警察や消防の車両よりも悪路走破性が高く、結構な積雪地であっても走り回ることが可能です。
なお、軽雪上車や雪上車は北海道や東北、日本海側など積雪地にしか配備されていませんが、それに近い性能を持ちつつ沖縄を含む全国の部隊/駐屯地に配備されている装備があります。その代表格といえるのが資材運搬車です。
資材運搬車はゴムの履帯(いわゆるキャタピラ)を装備しているため、悪路走破性はバツグンで、接地圧も低いため、ある程度の雪面も走ることが可能です。車体幅は2.15mのため、狭い場所でも入り込むことができます。なお、普段は大型トラックなどに乗せられて目的地まで移動しますが、いざという時には公道を自走することもできます。
冒頭に記したように、2024年に入ってからすでに自衛隊は雪害で災害派遣に出ています。ただ、我々一般市民としても、多くの積雪が予想される場合は、不要不急の外出を避けるようにしましょう。
自衛官も人の子です。活動すれば体力は消耗しますし、心配する家族・知人がいます。いざというときは頼るしかありませんが、普段ちょっとした配慮をするだけで、もしかしたら出動回数を減らすことができるかもしれません。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
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