「大雪で100便超が欠航」…羽田空港は本当に「雪に弱い」のか? そう思われがちな理由とは
「羽田の欠航多発」→プロの尽力でもやむを得えず…な理由
つまりこれは、もし1つの便が遅れた場合、遅れは同じ機材を使うほかの便でも発生するということを意味します。同時に、1つの便が雪により欠航すれば、この機を使うはずだったほかの便も飛べなくなります。
なお、筆者が前出の記者に訪ねた当時、成田空港は国際線が主体で、特に外国航空会社の到着便が出発するのは、一定の時間後なので1機による「玉突き」は起きにくいとのことでした。
現在の成田はLCC(格安航空会社)の国内線などが就航しているものの、やはり羽田の方が国内線の数が圧倒的に多いので、仮に今回の羽田のような積雪量が成田で記録されたとしても、羽田ほどの欠航数にはならない、と見ることができるでしょう。
国内最大の巨大さを誇る羽田空港ですが、当然雪に対し無対策というわけでは決してありません。機体と滑走路・誘導路共に除氷除雪への態勢を厚くしています。しかし、やはり大雪ともなると、処理する機数が地方空港と比べ物にならないほど多いことも、他空港に比べて欠航数が著しく目立つ要因のひとつかもしれません。
なお、この除氷・除雪は、航空会社が非常に神経を使う項目です。毎年冬の訪れが聞こえる頃には、乗員向けの社内誌で過去の世界で起きた事故例を掲載するなどして備えるほど。それだけ航空業界は、雪による事故の怖さを知っているのです。
特に雪の日、さまざまなターミナルビルから、駐機している機体へ特殊車両を用いて「防除雪氷液」を散布する様子を見ることができます。できるだけ遅延を避けるようにするには、手際よく終わらせる熟練の技が必要です。また、ただかければ良いというわけではなく、センサー類やタイヤ回りなどへ散布をしてはいけないなど、様々な決まりごとがあります。
その影響力ゆえにフォーカスされやすい羽田空港の欠航も、防除雪氷液を手際よく散布している姿も、現状できる範囲の中で、航空会社や空港などが、安全運航を堅持しながら、その範囲内で定時制を確保に努めた結果でもあるのです。
【了】
Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)
日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。
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