製造はたった2機! ロシア激動の時代をくぐり抜けた「Tu-334」 計画には改エンジン機も

1999年の今日、ロシアの旅客機「Tu-334」が初飛行しました。メーカーはツポレフで、ヒット作「Tu-134」の後継機として開発。しかし製造はたった2機でした。なぜでしょうか。

Tu-334はリアジェット

 ソ連の崩壊後、飛行に成功したものの実用化には至らなかった旅客機がロシアにありました。25年前の今日、初飛行した「Tu-334」です。メーカーはかつて世界を席巻したツポレフで、Tu-334はジェット旅客機「Tu-134」の後継機として開発されました。

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ツポレフ「Tu-334」(画像:ZiminVasiliy ,パブリックドメイン)。

 Tu-334の製造数はわずか2機(前作のTu-134は800機以上)。特徴は、現代の視点では珍しい、2基のエンジンが胴体後部に配された「リアジェット」である点で、胴体直径は約3.8m、全長は約31.3mです。航続距離は2000~3000km程度と短く、座席数は100席以下です。

 計画された1980年代末から1990年代初頭、ツポレフはエンジンのタイプが異なる2種類のTu-334を製造する予定でした。それぞれターボファン・エンジンとプロップファン・エンジンです。前者は一般的なジェット旅客機でも採用されており、実際に飛行したTu-334はターボファン・エンジン機です。

 後者は、現代のプロペラ旅客機で一般的なターボプロップ・エンジンの発展型。同軸でつながった二重のプロペラが、相互に逆方向にまわる「二重反転プロペラ」を備えます。ターボプロップ(プロペラ旅客機)より高速飛行が可能で、ターボ・ファン(ジェット旅客機)より燃費効率が良いとして、一時期旅客機にも採用すべく研究が進んでいました。ちなみに、Tu-334へはエンジン選定まで完了していましたが、飛行することはありませんでした。

 Tu-334は2003(平成15)年に型式証明を取得すると、生産開始は2009(平成21)年とされました。計画から製造、飛行まで時間を要したのは、その間にソ連が崩壊し、ロシア史上では激動の時代でもあったからです。

 ただし先述の通り、完成したのは2機のみ。理由はTu-334のプロジェクトが断念されたからです。ロシアでは2006(平成18)年、航空機メーカーを結集させた国策企業「統一航空機製造」が設立され、旅客機は「スホーイ・スーパージェット100」の実用化に専念したのでした。

【了】

【Tu-334】これが幻のコックピットです(写真)

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