猫は今も「軍艦の乗組員」!? ネズミ捕りの専門家だけじゃない「船乗り猫」たち 幸運すぎる伝説の猫も!
「不沈」の異名を持つ船乗り猫も登場!
第二次世界大戦では、各国の報道機関が戦意高揚を目的に船乗り猫を取り上げるケースも多くありました。そのなかでも有名なのが、「不沈のサム」の異名を持つ船乗り猫の「オスカー」です。
「オスカー」は元々、ドイツ戦艦「ビスマルク」の船員でしたが、同艦がイギリス艦艇との砲撃戦の末に沈没し、生き残った乗組員の1人(匹)でした。
「ビスマルク」から保護された後に「オスカー」と名付けられ、イギリス駆逐艦「コサック」に“移籍”しますが、今度はドイツの潜水艦に魚雷攻撃を受け同艦が沈没。その後は、空母「アークロイヤル」に乗り込みます。このとき「アークロイヤル」の艦長から、2隻の乗船が撃沈されるなか生き延びた幸運な猫ということで、「浮沈のサム」というニックネームを与えられたといいます。
しかし、「アークロイヤル」もドイツ潜水艦のU81による魚雷攻撃で沈没。このときも「オスカー」は生き延びますが、さすがにもう船には乗せられないという判断が下ったのか、その後、ジブラルタル総督事務所のネズミ捕り猫になったそうです。
日本の船乗り猫としては、戦後、1956年11月に第一次南極地域観測隊と共に南極観測船「宗谷」に乗り込んだ「たけし」がよく知られています。遺伝的に希少なオスの三毛猫だったそうで、第一次南極地域観測隊と一緒に最初の越冬も経験しました。
その後、第二次観測隊が密群氷域の影響で昭和基地に近づけず、タロ、ジロなどの犬ぞり犬を置き去りにせざるを得なかった際も、身体が軽かったため空路により「宗谷」に乗船し帰還を果たしたそうです。
しかし、船乗り猫は戦後、その数を減らしていきます。衛生上の理由などから外洋を航行する船において愛玩動物などを乗せることを推奨しない、あるいは禁じるケースが増えていきました。イギリス海軍では1975年から猫を含む愛玩動物の乗船をルールとして禁止しています。
例外として、ロシア海軍では船乗り猫の伝統が現在も残っており、原子力潜水艦にまで乗船しているといわれています。
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Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
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