「海上自衛官の恋はまるで平安絵巻!?」忍んで“恋文”を手渡し 知られざる海の上での恋愛事情
海上自衛官はいちど艦艇に乗船すると、数か月単位で船の上での勤務が基本になります。異性との出会いはあるのでしょうか。実は、男女の海上自衛官が仲を深めていくことも珍しくないそうです。
平安時代のような恋文のやりとりからスタート!
艦艇勤務の海上自衛官の生活は基本的に船の上で完結しており、若い海士たちは、陸上に住所を持たず、艦艇に住所(戸籍)を移して生活の拠点にしています。基本的に船の上で仕事をこなし、余暇の際には上陸して街で過ごし夜には艦艇に戻る生活です。
そして、艦艇乗組は20代~40代の隊員が中心となり、50代になるとCPO(先任曹長)という若い隊員達を統括する役職で後輩を指導・育成します。そんな艦艇勤務は男性が9割近くを占め、外部との出会いが少ないためか30代までは独身者も多くいます。そんな彼らの恋愛事情について、元女性海上自衛官に話を聞いてみました。
海上自衛隊では風紀的な理由から、基本的に艦艇内での恋愛を禁止しています。それでも、女性海上自衛官が結婚するのは、男性海上自衛官であるケースがかなり多いそうです。もちろん、陸上勤務の人もいますので、すべてが艦艇での恋愛を経ているわけではありませんが、ひっそりと愛をはぐくんでいるケースも数多くあるといいます。
「もともと女性の極端に少ない職場ですので、男性隊員からのアプローチは数多くいただきました」(元女性海上自衛官)
艦艇勤務のおおよその男女比は、男性9割に対し女性1割となっており、完全に男性過多な職場です、少しでも気に入った女性がいれば、アプローチ合戦は熾烈を極めます。
ただし、最初に述べたように艦艇内では恋愛はご法度。おおやけにアプローチをかけるわけにはいきません。
「名前とメールアドレスを書いた紙をこっそり相手に渡す方法を取ります、かなり古典的です。これは、同じ艦艇内だけでなく、たまたま寄港地などで船が隣り合った場合などでも行われることがありました」(同)
こうしてまずは自分の存在を知ってもらうことからスタートするそうです。SNSやマッチングアプリが発達した、即物的でスピード重視な現代の恋愛観よりも、通信手段が限定的だった昭和の文通などに近いです。
周りに知られぬようにこっそりやりとりする様は、平安貴族のような奥ゆかしさすら感じられます。特に、ひとつの桟橋に複数の艦艇が停泊する通称「メザシ」と呼ばれる状態のときが狙い目で、こうした手紙のやりとりがあるそうです。
しかし、お互いの連絡先を交換し合った後も、ネットを介した相手への連絡は“急襲作戦”のような迅速なスピードと的確な情報収集が不可欠のようです。
海上に出てしまえば携帯電話もメールも通じません。ただしメールだけは、航行中でも陸地に近いところを通過する際、わずかに電波が届く場合があり、訓練時間外であれば艦内でその案内放送がかかるそうです。そのわずかな時間が勝負です。
「まずは、意中のお相手から返信がきていないかの確認です。連絡先を貰った人はそのメールアドレスに急いで連絡します。もちろん任務中であればそのようなことはできませんが、休憩中の非番の隊員は、我先にとメールのやり取りを行います」(同)
なお、同じ艦内にいる乗員同士で親密な雰囲気になった際は、メールは必要ありません。ただ、艦内でデートなどは無理なため、最初に連絡先を渡したとき以上に手紙のやりとりが重要になります。
「今度はこっそり気持ちを伝えあうメモを渡し合います。これが、秘密の交換日記のようでとても楽しいですね」(同)
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