「海上自衛官の恋はまるで平安絵巻!?」忍んで“恋文”を手渡し 知られざる海の上での恋愛事情

女性自衛官だけの“恋愛情報網”がある!?

 ただし、前述した通り、艦艇内での恋愛は基本的には禁止です。親密になりすぎて風紀を乱し、上官に見つかって異動させられたケースもあるそうなので、そこはしっかり節度を守らなければなりません。

「あくまでひそやかに、小さなメモ用紙に気持ちを託して伝え、相手からの返答を待ちます」(同)

 こっそり手渡す文章でその人の気持ちや性格を確かめるという点がますます、平安貴族の文のやり取りをイメージさせられます。ただ、女性自衛官の情報ネットワークはCIAやモサドにも負けないような情報収集能力のようです。

「女性自衛官は独自のネットワークを持っているため、『誰が誰にアプローチをしている』『誰が誰をフッた』というような話は、伝わるのが非常に早いですね。また『興味のない男性隊員から言い寄られて困っている』と後輩に相談されるケースもありました」(同)

 なお、任務外であれば、恋愛は自由です。休暇中や寄港地での上陸などの際には、気の合う隊員同士、飲みに行ったり買い物に出かけたり、それぞれ楽しむことができるとのことでした。

 こうして思いを通わせ、めでたくゴールイン(結婚)……となってからも艦艇でイチャイチャなんてことはできません。基本的に夫婦ともに自衛官の場合、同じ艦艇で乗務することはないそうです。

「結婚した女性自衛官は退職される方が多く見受けられましたが、継続意思があり、おめでた(妊娠)が重なっていた場合は地上勤務になることもありましたし、結婚されても夫婦船乗りで2馬力(夫婦ともに自衛官であることを表す自衛隊特有のたとえ)の先輩もいます」(同)

 海上自衛官の秘めたる恋、いかがでしたでしょうか。普通の若者たちのように恋愛にまい進することは難しいかもしれませんが、そんな中でも気持ちを伝え、気持ちを育てていく彼らの奥ゆかしさは、デジタルな出会いの手段が全盛の昨今では、あまり味わえないことかもしれません。

【了】

【基本2か3段ベッド!!】これが、護衛艦での任務中に使う寝床です(写真)

Writer: 凪破真名(歴史ライター・編集)

なぎはまな。歴史は古代から近現代まで広く深く。2019年現在はフリー編集者として、某雑誌の軍事部門で編集・ライティングの日々。趣味は自衛隊の基地・駐屯地めぐりとアナログゲーム。

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