「プロペラ旅客機」はなぜ消えない? 確かに遅い! …それを上回る納得の強みとは

日本の航空会社では2024年現在、ジェット旅客機が主流です。その一方で「プロペラ機」も、ごく短い距離を飛ぶ航空会社ではまだまだ使われています。なぜプロペラ機は、いまだに使用されているのでしょうか。

「どこでも飛べる」の凄さ

 日本の航空会社では2024年現在、ジェットエンジンの一種である「ターボファンエンジン」を積んだジェット旅客機が主流です。その一方で往年の旅客機では一般的だった「プロペラ機」も、ごく短い距離を飛ぶ航空会社ではまだまだ使われています。なぜプロペラ機は、いまだに使用されているのでしょうか。

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HAC機(2022年12月27日、乗りものニュース編集部撮影)。

 現在のプロペラ旅客機は「ターボプロップ機」と呼ばれるものが大多数を占めます。これはターボファンエンジンのエンジンカバー(カウル)を取り払ったような構造をしていて、旧来のプロペラ旅客機で採用されていた「レシプロエンジン」とは根本的に構造が異なります。

 とはいえ、「ターボプロップ機」と「ターボファンエンジン機」の巡航速度は圧倒的な差が。JAL(日本航空)グループが使用しているターボプロップ機、ATR42-600の巡航速度は556km/hと公表されているのに対し、多くの乗客を乗せる国内幹線向けのジェット旅客機、エアバスA350-900は916km/hと公表されています。

 ターボプロップ機の強みのひとつは、離着陸に必要な滑走路の長さがジェット旅客機と比べて短くて済むこと。つまり、ジェット機では条件が良いときにでしか運航できない1500mの滑走路はおろか、それにも満たない短い滑走路の空港もある離島路線でも発着可能である点が、ターボプロップ機を選択するひとつの理由とされています。また燃費効率もターボプロップ機のほうが優れていることが多いのも理由のひとつでしょう。

 短い滑走路で発着できる新型ターボプロップ旅客機の開発は、2024年現在でも進められています。

 JALグループのJAC(日本エアコミューター)やHAC(北海道エアシステム)、そして2024年に運航を開始したトキエアの主力機でもあるヨーロッパの航空機メーカー「ATR」は、短距離離着陸に特化した「ATR42-600S」の開発を進めています。ATR42-600Sは40席クラスながら、800mの滑走路に発着可能としており、同社は「日本にある97か所の空港のほとんどに就航できます」とコメントしています。

【了】

【写真】なにこの形… 「世界最速のプロペラ機」のスゴイ全貌

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