あれもこれも魔改造!? “見たことない兵器”だらけのロシア&ウクライナ 両軍が重宝するソ連の装甲車とは

ロシア・ウクライナ戦争では、制式兵器には到底見えない魔改造兵器が多数投入されています。なかでもそれらのベースとなっているMT-LB装甲車は60年前のソ連製。改造が前提の設計で機動性や防御力もあるため、今なお重宝されるようです。

対空砲に迫撃砲、榴弾砲搭載型、果てには救急車まで

 このキャパシティに加え、キャタピラを備えた装軌式のため機動力に優れること、軽装甲でも防御力があること、構造が簡単で扱いやすいことが特徴で、MT-LBは現場では何でも載せられるプラットフォームとして重宝されています。

 ロシア・ウクライナ戦争でもMT-LBは両軍で使われています。投入数は不明ですが、オープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)サイト「Oryx」で損失数が分かります。

 これによると、ロシア軍でMT-LBが698両、MT-LBVMが201両、ZSU-23搭載型が41両、14.5mmBPU-1砲塔搭載型が2両、2M-7海軍用機関砲搭載型が1両、AZPS-60対空砲が1両、100mmMT-12対戦車砲搭載型が3両、82mm自動迫撃砲搭載型が2両、25mm2M-3海軍砲搭載型が1両、MT-LBuが14両失われています。

 ウクライナ軍ではMT-LBが65両、ZSU-23搭載型が12両、MT-LB-ATが1両、14.5mmBPU-1砲塔搭載型が1両、85mmD-44榴弾砲搭載型が1両、MT-LBuが6両、MT-LB-s救急車が23両失われています。かなりの数のMT-LBのバリエーションが戦場に投入されていることが損失数から推測できます。

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森林火災用消防車に改造されたMT-LBu-GPM-10(ヴィタリー・V・クズミン, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons)。

 どの国の軍でも高価・高性能なハイエンドの装備だけをそろえるのは予算的にも難しいのが現実です。そこで比較的安価でもそれなりの性能のミドルおよびローエンドの装備と組み合わせる、いわゆるハイローミックスの考え方で装備を整えるのが一般的です。スペック面では当然、ローエンドはハイエンドに劣りますが、それは単純に弱いということを意味しません。MT-LBの数えきれないバリエーション自体が軍全体の戦闘力を向上させ、優れたコスパを実現しています。

 ただ、長期化する消耗戦の様相のなかで、戦力としてどこまで有効かは分かりません。ハイエンド兵器が払底しつつあるなかで、魔改造兵器はハイローミックスにもなっていない長期消耗戦の成れの果てにも見えます。しかし、古くて地味で非力でも多目的に使えるMT-LBが、現場では頼りにされていることは事実のようです。

【了】

もはやなんでもアリか? 魔改造兵器の例(写真)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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