アメリカ原子力潜水艦を改造「キャタピラー・ドライブ」を付けるってマジ!? すでに試作済みの“画期的な装置”とは

4月1日に『Naval News』が報じた、アメリカの原潜にキャタピラー・ドライブを搭載するというのは、話半分がエイプリルフールネタであるものの、もう半分は研究・試作がなされた分野です。なんでも潜水艦の騒音が消せるというのですから。

日本で試作船があった!?

 記事によると「USSモンタナ」の試験はロシアから秘密を守るため、メイン州のペノブスコット川で行うとされていましたが、映画『レッドオクトーバーを追え』を見られた方はここでピンとくるかもしれません。

 作中の結末で亡命に成功した「レッドオクトーバー」が、ソ連の偵察衛星から逃れるためとして遡ったのはペノブスコット川なのです。記事のリリースが4月1日ということで、これはエイプリルフールネタというオチです。

 しかしキャタピラー・ドライブは、単にエイプリルフールのフィクションではありません。日本の「ヤマト1」という、戦艦とも宇宙戦艦とも無関係な総トン数185tの小さな実験船が装備して、1992(平成4)年6月に世界最初の有人自力航行に成功しているのです。

 磁気流体推進の原理は1960年代から研究されており、「ヤマト1」は国内外軍民から注目されていました。しかし30mの船体に10名を乗せると最大速力は8ノット(約14km/h)がやっと。「手漕ぎボートを億単位の金かけて作ったようなものだ」とも評されました。従来のスクリュープロペラの方がはるかに安価かつ効率的で、キャタピラー・ドライブは実験の域を出ませんでした。

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神戸海洋博物館に展示されていた磁気流体推進(MHD)の実験船「ヤマト1」。2017年3月に解体された(画像:663高地, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)。

 しかし2023年にアメリカの国防高等研究計画局(DARPA)が、「PUMP(海底磁気流体ポンプの原理)プログラム」として42か月をかけて磁気流体推進の実用化に取り組むことを発表しています。背景には電磁石、伝導体技術に大きな進捗が見られていることがあります。キャタピラー・ドライブ搭載潜水艦のメリットとして静粛性がありますが、デメリットとしてエネルギー効率の悪さ、伝導体の冷却システムと流水路を潜水艦の船郭に収める構造的問題、強い磁気が探知されやすくなる、などが考えられます。

世界最大級! キャタピラー原潜のモデルとなったソ連の潜水艦(写真)

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