復活!? 一度退役の80s高スペック巨大爆撃機を“修復” 一体なぜ? 米空軍ならではの台所事情が
アメリカ空軍が、いったん退役した大型爆撃機B-1B「ランサー」を再就役させようと作業を行っています。ただ、同機は2030年ごろに全機退役する予定です。再び飛べるようにしても6年あまりしかないのに無駄にはならないのでしょうか。
「取っておいてよかった!」でも再飛行まではまだ先
ただし、良い状態で保管されていたとはいえ、一度飛ばなくなった爆撃機を、再び第一線に復帰させるのは簡単なことではありません。
「ランスロット」の場合、まず再飛行のために保管されていたデイビス・モンサン空軍基地の保管施設にて2年と11か月もの長期期間にわたる整備作業が行われており、さらにティンカー空軍基地に移動した後には、現役機と同様の性能が発揮できるよう、それらと同程度の近代化改修を改めて施す必要があります。
今回のアメリカ空軍の発表によると、ティンカー空軍基地での改修作業は始まったばかりであり、「ランスロット」が任務に戻るのはまだ先になる模様です。
アメリカ空軍は、2021年の退役時に保管されたB-1Bが現役復帰するために必要なコストについて「1機あたり1000万ドルから3000万ドル」と述べていることから、事故機の穴埋めの費用は決して安くないことがわかるでしょう。
ただし、B-1Bについては、今年の1月にサウスダコタ州のエルズワース空軍基地で別の機体が不時着事故を起こしています。もし、こちらの機体についても修理不可能だと判断された場合は、その損失分の補填として「ランスロット」に続く新たなB-1Bの再就役が行われる可能性もあります。
ちなみに、2022年の事故機については、事故調査終了後に退役しており、機体からは再利用可能な270万ドル相当の部品を外したうえで、機体は調査用の資料として国立航空研究所に提供されたといいます。
このように機種と時期によっては、退役した軍用機はスクラップにならず、その機体や部品が今後の為に様々な形で有効活用されるようです。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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