「北陸最大の都市」なのに“路線バスだけ”で半世紀 地下鉄・LRT・BRT…議論どうなった? 中心街が遠い金沢

新幹線開業後も議論は続く

 具体的な議論が動き出すのは2000年代に入ってからのことです。国鉄末期に凍結され、一時は絶望視された北陸新幹線が、金沢までフル規格で整備されることになったのです。

 2006(平成18)年の「金沢世界都市構想第2次基本計画」には、「北陸新幹線開業を見据えた定時性に優れ魅力あるシステムの導入」が記されますが、最大の課題は前述した道路の狭さでした。

 LRTまたはBRT(バス高速輸送システム)の専用レーン導入には4車線道路の半分を線路に転用しなければならず、自動車社会で生きる市民の合意形成が不可欠です。このハードルは10年では解決できず、基軸交通の導入が実現しないまま北陸新幹線は2015(平成27)年3月に開業します。

 開業後、2016(平成28)年に策定された「第2次金沢交通戦略」は、「新幹線時代に対応した都市内交通、二次交通」の導入に向け2019年までにシステムの選定を行い、2022年までに導入着手するというスケジュールが示され、市と国・県・県警・交通事業者からなる「新しい交通システム検討委員会」が設置されました。

 2017(平成29)年2月に公表された「新しい交通システム導入に関する提言書」はBRT、LRT、モノレール、ミニ地下鉄を比較し、事業費や導入空間の確保、まちづくりの観点からシンボル性、景観、バリアフリー性、道路交通に与える影響などを検証しました。

 検討会は「金沢港~金沢駅~香林坊~野町駅の都市軸を基本としたルートが適当」として、「地上走行を基本としたシステムの導入が望ましい」と提言。「ただし、具体的な導入機種については、引き続き、詳細な検討を重ねていく必要がある」として結論を先送りしました。

 検討会が行った市民アンケートでは、週1回以上自動車を利用する人に「今後自動車から公共交通に乗り換えようという考えはありますか」と聞いたところ、24%が「ある」、33%が「条件次第によっては転換を検討したい」と回答。乗換の条件として「時刻表通りの運行」を重視するとの声が最も多く、市民の受け止めにも変化が見られました。

【図】これが金沢の「新しい交通システム」が目指す姿です

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