「なんちゃってライドシェア」のままじゃダメ! 法整備求めるデジタル相に国交相“土俵に上がらず” 対立鮮明に
でも「バージョンアップは直ちに」
国土交通省には、タクシーの規制緩和により長時間労働と低賃金の問題が生じた過去の苦い経験があります。2009年に成立した改正タクシー特別措置法によって改善しつつありますが、今もその途上という認識です。4月にスタートした新制度から2か月足らずで法制度の検討に入れば、新制度による担い手不足解消の意欲が削がれて、タクシーによる旅客運送そのものが立ち行かなくなる、という苛立ちすら感じさせます。
さらに斉藤国交相は河野担当相に、こう話しています。
「大きな目的は、地域の移動の足不足の解消でございます。今の取り組みによって移動の足の不足が解消されるのであれば、それが目的なのではないか。このようにも申し上げました。したがいまして、答申や閣議決定において、法制度については言及しない。このようにしたいと考えていると申し上げてきたところでございます」
ただ、現状でも判明している都市部の雨の日需要や、万博を想定した大規模イベントの需要に対しては、「日本版ライドシェアや公共型ライドシェアについて、前向きなバージョンアップを直ちに開始したいと思います」と斉藤氏は話しています。
ライドシェアのほかに、河野担当相は「自動運転の社会実装の加速化も進めるべきである」という発言をしていますが、この点については斉藤国交相との同意をみました。
しかし、法制度についての検討について意見の隔たりは埋まらず、両者は引き続き調整を続けるとしていますが、国交省側は、そもそも法制度に言及をしないのだから、モニタリング検証の結果以前に話し合いが進むことはないと考えているようです。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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